Research Abstract |
本年度は,主に,農作業支援ロボットが作業者を自律支援するシステムの一つとして,収穫作業を行う作業者の作業動作に合わせて,ロボット自身が重量物運搬の必要性の有無を判断する,作業動作認識システムの開発を行った.さらに,作業支援ロボットが作業者の手を煩わせることなく,作業通路内を自律走行するための走行路検知システムの開発,ならびに,収穫後農産物の単調な選別作業を支援するために,イチゴ果実を供試サンプルとして,果実の3次元全周形状や果実先端の3次元位置を作業者に自動提示するシステムの開発も合わせて行った. 作業動作認識システムの開発では,身体を右あるいは左周りに回転させる旋回動作,ならびに,膝や腰を曲げ伸ばしする屈伸動作の有無や回数が,重量物運搬の必要性を判断する重要な指標になることに注目し,首振りカメラ,ならびに,専用に開発した赤青カラーマーカを用いて,作業者の位置と姿勢をリアルタイムに追跡しながら,作業姿勢ならびにカメラの首振り角度の時系列変化から,収穫作業中に現れる旋回動作,ならびに,屈伸動作を認識する隠れマルコフモデルを設計した.首振りカメラに対する作業者の向きに左右されず,旋回動作,ならびに,屈伸動作を安定して認識するための隠れマルコフモデルを設計した.植物工場での収穫作業を想定した屋内検証実験では,右あるいは左周りの旋回動作,ならびに,屈伸動作とも,動作の起点が100%認識できる結果が得られ,収穫作業を支援するタイミングを検出する有用な動作認識システムを開発することができた.さらに,作業者の両腕,両足,腰の5箇所に装着した無線通信型の3軸加速度・角加速度センサから500Hzで送信される30種類の信号を,隠れマルコフモデルで認識するシステムも試行的に開発し,重量物運搬動作を一部認識できる結果も得られたことから,カメラを使わない作業動作認識システムの可能性を新たに示すことができた.
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