2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780241
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三谷 朋弘 Hokkaido University, 創成研究機構, 特任助教 (80451409)
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Keywords | 畜産学 / 農林水産物 |
Research Abstract |
1従来から実際の酪農現場において風味異常乳が度々問題となっている。その要因の一つとして生乳中脂質の酸化による脂質酸化臭が挙げられているが、その脂質酸化の発生原因についてはいまだ明らかではない。本研究では、実際の酪農家レベルでの各生乳成分の違いと脂質酸化程度との関係を明らかにすることを目的とし、平成21年度は実地調査を行った。 2北海道の3地域(道央、十勝および道北地域)で、季節毎(冬、春、夏;道北のみ初夏を加えた)に生乳サンプル採集とアンケート調査を行った。農家毎に飼養条件、一般乳成分、脂肪酸組成、抗酸化物質含量および過酸化脂質量(当日、3日間および5日間冷蔵後冷凍)を測定した。季節毎の差異が小さいので道央および十勝地域は一年分をまとめ、道北については放牧時期(初夏および夏)と舎飼い時期(冬および春)に分割し、解析した。 3冷蔵後日数に関わらず、道北地域の過酸化脂質量は道央および十勝地域より多く、特に道北地域の放牧時期が多かった(道央、十勝、道北-放牧および道北-舎飼い;7.7、5.6、14.9および8.5mM of O_2/L of milk)。冷蔵後日数間で過酸化脂質量に有意な差はなかった(当日、3日間および5日間冷蔵後冷凍;8.3、7.8および7.9mM of O_2/L of milk)。 4道北地域の放牧時期の生乳は他の地域および舎飼い時期の生乳と比較して異なる成分的特徴を持つことは明らかである。他の地域と比較して脂肪酸組成ではリノール酸割合が低く、α-リノレン酸および共役リノール酸割合、α-トコフェロールおよびカロテノイド含量が高かった。一般的に、脂質の酸化は不飽和脂肪酸含量と抗酸化物質含量とのバランスで変動するとされている。本調査の結果から、北海道の地域および季節間で乳中過酸化脂質量は変化することは明らかであったが、この程度の抗酸化物質量では放牧時期の脂質酸化を抑える事は困難であるのかもしれない。
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