2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブラシ処理がウシのウェルフェア・生産性へ与える影響、その遺伝的背景の解明
Project/Area Number |
21780243
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
二宮 茂 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 准教授 (40508305)
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Keywords | ブラッシング / ウシGH遺伝子多型 / 離乳ストレス / 子牛 / 肥育牛 |
Research Abstract |
1.離乳は子牛にストレスを与えることが分かっている。離乳時の子牛のストレス要因には母牛との社会的関係の突然の解消、それに伴う哺乳の停止や飼料の変更による栄養源の変化、飼育環境・社会的環境の変化がある。本研究では、離乳前に正の接触であるブラッシングが子牛の離乳ストレス反応を軽減させるか検証することを目的とした。ブラッシングは、ウシのヒトに対する恐怖反応を軽減する効果があり、ヒトとウシ間の親和関係の構築に寄与する。栄養を摂取する先が母牛から人間に移行する離乳期に親和関係が構築されていれば、子牛の離乳ストレス軽減に繋がるものと考えられる。また、子牛のGh遺伝子多型も調べ、ブラッシング処理に対する子牛の反応性や離乳ストレス反応の個体差についても着目した。ブラッシング処理の結果、離乳前日における処理中の子牛の反応評点は、ほぼ受容をしめすものとなった。また、逃避距離は処理群で有意に減少し、対照群と比べ短くなった(p<0.05)。離乳1日後のブラッシング処理においては、落ち着かない、動く個体が多く観察された。また、子牛のブラッシングに対する反応性について、ウシGH遺伝子多型との関連は見られなかった。 2.身繕い器具はウシの身繕い行動を刺激する一方、群飼では、その利用における個体間の競争を誘発することも予測される。本研究では、肥育牛を飼養するペンに身繕い器具を導入した際のウシの身繕い行動の発現とその社会的順位との関係を解析し、ウシのウェルフェアに与える影響を調査した。ブラシの利用は試験期間を通して継続した。それぞれの利用時間割合に社会的順位の影響は認められなかった。1ペンあたりの敵対行動の発生頻度に両群間で差は見られなかった。
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