2009 Fiscal Year Annual Research Report
ササ型野草地における放牧牛の採餌生態の解明-再造林放棄地の活用を目指して-
Project/Area Number |
21780244
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
八代田 真人 Gifu University, 応用生物科学部, 准教授 (30324289)
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Keywords | 放牧 / 牛 / ササ / 野草地 / 採餌生態 / 採食速度 / 採食行動 |
Research Abstract |
林業の衰退に伴い,材木の収穫後に造林できない再造林放棄地が国内で急増している。再造林放棄地では,ササ類が密生することで地表の光量が不足し,樹木の更新ができないため,早期の解決が求められている。一方で,ササ類は肉用繁殖牛の飼料資源として放牧利用することで低コスト飼料資源としての期待ができる。しかしながら,一般的な牧草地に比ベササ地での効率的な放牧管理に関する知見は少ない。そこで本研究では,放牧管理の基本となる牛の採餌速度(g/分)とそれに影響を及ぼす採餌行動(バイト[一噛み]量・速度,咀嚼量・速度)を測定し,ササに対する牛の採餌速度および採餌行動の特徴を明らかにすることを目的とした。試験には黒毛和種繁殖牛6頭を供試した。1m^2の人工草地(Hand constructed sward)を牛に採餌させ,採餌行動を音響モニタリング法で定量し,採餌前後の草地の重量差から採餌量を求めた。実験1では,再造林放棄地に繁茂するササ(高さ約180cm)に対する牛の採餌行動と採食速度を定量した。その結果,採餌速度,咀嚼速度および咀嚼量(平均±標準誤差)はそれぞれ36.4±3.3gDM/分,67.2±4.7/分および0.55±0,04gDM/咀嚼であり,牧草に対する採餌行動と違い,バイトを明確に判別するのが困難であった。実験2では,高さ約180cmのササと放牧により倭小化したササ(高さ約40cm)に対する牛の採餌速度および採餌行動の違いを比較検討した。その結果,採餌速度および咀嚼速度はササの高さの違いによる差は認められなかったが,咀嚼量は高いササの方が大きかった。これらササに対する採餌速度は,これまでに報告されているイネ科牧草の値とおおむね同じであり,牛は植物の形態に関わらず,採餌行動を変化させて,採餌速度を比較的一定に維持できることが明らかとなった。
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