2011 Fiscal Year Annual Research Report
ササ型野草地における放牧牛の採餌生態の解明-再造林放棄地の活用を目指して-
Project/Area Number |
21780244
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
八代田 真人 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (30324289)
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Keywords | 放牧 / 牛 / ササ / 再造林放棄地 / 反芻胃 / 消化動態 / 採食行動 |
Research Abstract |
本研究は,再造林放棄地に繁茂するササを牛に放牧利用させることで省力的に除去して,森林再生を促し,かつ牛を低コストで飼育する方法の確立を目的としている。再造林放棄地のササを牛に効率良く利用させるためには,ササに対する採餌行動と採食量を制御する要因を明らかにする必要がある。そこで,本研究では,牛のモデル動物として緬羊をネザサ草地および牧草地に放牧し;1)反芻胃内容物重量および飼料粒度分布の日内変化測定し,採食量との関連を明らかにする。2)放牧下での採食・反芻時間,各採食場所での滞在時間および摂取行動パターンを測定し,採食行動および採食速度を明らかにすることを目的とした。 研究の結果,ネザサおよび牧草地に放牧した緬羊の乾物摂取量および消化率に大きな差は認められなかった。反芻胃内容物乾物重量は,いずれの草地に放牧した緬羊でも8時から20時まで増加し,その後に減少する推移を示したが,全体的に牧草地に放牧した緬羊の内容物重量が多かった。反芻胃内の飼料片粒度では,ネザサ草地に放牧した緬羊が牧草地に放牧した緬羊に比べ小飼料の中でも粒度が大きいものの割合が多く,反芻胃から通過する飼料片サイズが大きいことが示唆された。したがって,本研究ではネザサ草地に放牧した緬羊では比較的粒度の大きい小飼料片が反芻胃を通過することで充満度が低下し,その結果採食が誘起されることで採食量が低下しなかったと考えられた。また,採食行動の比較でも,総採食時間,採食期の回数および1採食期の継続時間に牧草地に放牧した緬羊とネザサ草地に放牧した緬羊で差は認められず,採食行動および採食速度に明確な違いは観察できなかった。 以上のことから,本研究ではササと牧草では反芻胃内の飼料粒度分布に違いがあるが,そのことが必ずしも採食量あるいは採食行動に影響しないことが明らかとなった。
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