2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780252
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
尾畑 やよい 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (70312907)
|
Keywords | 卵子 / 遺伝子発現 / 性分化 / 生殖細胞 |
Research Abstract |
B6-Y.TIR性転換雌マウスでは、卵母細胞の発生という点において、B6-XX雌マウスと遜色ない表現型を示すにもかかわらず妊性がない。これまでに我々は、XY卵母細胞の第一減数分裂は正常に行われること、第二減数分裂以降の分裂に顕著な異常が現れること、この異常はXX卵細胞質にXY卵母細胞核を移植すると改善され産仔への発生支持能を獲得することを報告してきた。また、前年度までに、XX卵母細胞とXY卵母細胞における遺伝子発現プロファイルを網羅的に比較・解析した結果、XX卵母細胞とXY卵母細胞で5倍以上発現が変化している遺伝子がX染色体上に19、Y染色体上に5遺伝子存在することが明らかとなった。今年度は、XY卵母細胞の細胞質不全の原因がX染色体上の遺伝子の転写産物の不足によるものかY染色体上の遺伝子の転写産物が卵細胞質機能に悪影響を及ぼしているのか解析するために、細胞質移植を行うことにした。その結果、卵核胞期でXX卵母細胞にXY卵細胞質を移植し、成熟培養を行った場合、XX卵細胞質を移植した場合と比較して異常な第二減数分裂中期像が増えることが明らかとなった。一方、XY卵母細胞にXX卵細胞質を移植し成熟培養を行った場合は、XY卵細胞質を移植した場合と比較して、異常な第二減数分裂中期像を示す率に差が認められ無かった。以上より、Y染色体上の遺伝子の転写産物が卵細胞質機能に悪影響を及ぼしている可能性が高いことが示唆された。
|