2009 Fiscal Year Annual Research Report
受精時のカルシウム放出に必要なイノシトール3リン酸受容体の局在に関する研究
Project/Area Number |
21780253
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
伊藤 潤哉 Azabu University, 獣医学部, 准教授 (30454143)
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Keywords | 卵 / 受精 / キナーゼ / IP_3受容体 |
Research Abstract |
哺乳類の受精時にはCa^<2+>オシレーションが誘起され,その結果卵は活性化され減数分裂を再開する.現在までに我々は,マウス卵を用いてイノシトール3リン酸受容体タイプ1(IP_3R1)が減数分裂の進行に伴いリン酸化されること,卵活性化後に急激に脱リン酸化されることを明らかにした(Lee et al., 2006 Development;Ito et al., 2008 Dev. Biol).しかし他動物種,特に卵細胞質内精子注入を行った際,卵活性化の誘起が困難なブタにおけるCa^<2+>オシレーション誘起に関する機構は全く明らかにされていない.本年度は,まず卵の減数分裂時に起こるIP_3R1の動態に関して,ブタ卵を用いて検討を行った.その結果,ブタ卵のリン酸化IP_3R1量は培養開始24時間後に急激に増加し,36時間後には最大値に到達した.また,この時期にはp34^<cdc2>kinaseおよびmitogen^-activated protein kinase活性の上昇も認められた.一方成熟卵をMAPK抑制剤U0126で処理しても,リン酸化IP_3R1量は変化しなかったが,p34^<cdc2>kinase抑制剤roscovitineで処理するとリン酸化IP_3R1量は著しく減少した.以上のことから,ブタ卵においてもIP_3R1のリン酸化が起こることが明らかにされた.またそのリン酸化にはp34^<cdc2>kinase活性が関与している可能性が示唆された.これらの機構によりブタ卵の受精時におけるCa^<2+>オシレーションは制御されていると考えられる.次年度では,これらIP_3R1の変化と卵内での局在変化との関係について詳細に検討を行う予定である.
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