2010 Fiscal Year Annual Research Report
クローン受胎牛の分娩遅延と分娩誘起法の研究:胎子性コルチゾルからのアプローチ
Project/Area Number |
21780255
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Research Institution | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
Principal Investigator |
平山 博樹 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部・畜産試験場・基盤研究部, 研究主任 (60390861)
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Keywords | クローン / 分娩 / コルチゾール / 分娩誘起 / 胎盤 |
Research Abstract |
本研究では、分娩誘起方法の違いが分娩時の胎盤のアポトーシスに及ぼす影響を検討した。アポトーシスに対して抑制的に作用するBCL2A1 mRNAの分娩時胎盤における発現量は、プロスタグランジンF_<2α>(PG)による誘起分娩に比較して自然分娩で有意に低下しており、デキサメサゾン(DEX)の投与による分娩誘起では変化しなかった。In situ hybridization解析の結果、BCL2A1 mRNAは胎子胎盤の二核細胞で強く発現しており、母体側の子宮小丘上皮細胞でも部分的に発現が認められた。自然分娩時には二核細胞数が有意に低下しており、このことがBCL2A1 mRNA発現量の低下の要因のひとつと考えられた。TUNEL陽性細胞は、PGによる誘起分娩時に比較して、自然分娩時およびDEXによる誘起分娩時に増加しており、アポトーシスが亢進していた。自然分娩では胎盤停滞の治療はなかった(0/4頭)のに対し、分娩誘起を行った牛では治療牛が多かった(DEX;1/4頭、PG;3/4頭)。以上より、通常分娩誘起に用いられている量のデキサメサゾンの投与は胎盤節のアポトーシスを誘導するが、二核細胞数の減少やBCL2A1遺伝子の発現抑制は引き起こさないことが示唆された。持続型コルチゾール製剤(トリアムシノロンアセトニド)を投与したクローン受胎牛のうち1頭は帝王切開により分娩し、残りの2頭は経膣で分娩した。子牛の体重は場内の黒毛和種の平均生時体重(35kg、2004~2008年)よりも重く(41~51kg)、経膣で分娩した1頭で筋肉水腫がみられたが、そのほかにはクローン牛に特徴的な異常は認められなかった。これらの牛の分娩時に採取した胎盤の解析はH23年度に実施する。
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Research Products
(2 results)