2011 Fiscal Year Annual Research Report
鶏肝臓脂質・糖代謝のアディポネクチンによる制御機構
Project/Area Number |
21780258
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
大津 晴彦 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所・家畜生理栄養研究領域, 主任研究員 (40455316)
|
Keywords | アディポネクチン / 脂質代謝 / 糖代謝 / 応用動物 / 生理学 |
Research Abstract |
Adiponectinの鶏肝臓脂質・糖代謝への影響は、その調節ホルモンに多く影響を受ける。そこで、インスリンの脂質・糖代謝調節機構に対するAdiponectinの作用を検証した。ブロイラー肝細胞を0.25μg/mlのインスリンを含む培地で培養し、Adiponectin(20μg/ml)添加後の脂質・糖代謝合成系関連因子mRNA発現量を測定した。Adiponectinは脂肪酸合成酵素(FAS)発現量に対するインスリンによる増加作用を抑制した。糖新生系因子(PEPCK,G9Pase)発現量に対してAdiponectinの有意な効果は観察されなかった。以上より、Adiponectinはインスリンの作用を阻害し・鶏肝臓脂質合成を抑制することが示唆された。 鶏生体内でのAdiponectinの作用を検討するために、Adiponectin抗血清の投与試験を行った。 ブロイラー雄に飼料・飲水自由摂取条件下でAdiponectin抗血清及びコントロール血清を翼下静脈より投与した(2ml/kg体重)。鶏Adiponectin抗血清の投与は、投与後6時間で飼料摂取量をコントロールに対して有意に減少させた。Adiponectin抗血清投与により肝臓脂肪酸合成系(EAS,ME)の遺伝子発現量は低下し、脂肪酸酸化系(CPTI)の遺伝子発現量は増加した。糖新生系(PEPCK,G6Pase)はAdiponectin抗血清投与により増加する傾向を示したが、解糖系(PFK)に対しては影響を与えなかった。これらの作用は、飼料摂取量に変化に起因するものと考えられた。次に、24時間絶食条件下で同様の試験を行ったところ、Adiponectin抗血清投与により、FAS遺伝子発現量は増加する傾向、SREBP1発現量は有意に増加し、鶏生体内においても、Adiponectinが肝臓脂肪酸合成系を抑制する可能性が示唆された。
|