2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルス蛋白質によるオートファジー制御:神経変性疾患への関与の検証
Project/Area Number |
21780260
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
富岡 幸子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (50374674)
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Keywords | 発生工学 / ヘルペスウイルス / オートファジー / 脳・神経疾患 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ブタヘルペスウイルス1(仮性狂犬病ウイルス)前初期蛋白質IE180を発現するトランスジェニックマウス(IE180Tgマウス)の解析を中心に、ヘルペスウイルスタンパク質がオートファジー経路を阻害して異常タンパク質の蓄積を起こし神経変性を誘発する可能性を示すことである。本年度はIE180Tgマウスとオートファゴソーム蛍光標識マウス(GFP-LC3 Tgマウス)のダブルトランスジェニックマウス(IE180/GFP-LC3 Tgマウス)を作出し、中枢神経系においてIE180がオートファジー経路にどのような影響を及ぼすかを形態学的に検証した。GFP-LC3 Tgマウスでは小脳プルキンエ細胞の樹状突起および小脳溝の下層に位置するプルキンエ細胞の細胞体が規則的にGFP陽性となり、オートファジーが正常に機能していることが推察された。これに対し、IE180/GFP-LC3 Tgマウスのプルキンエ細胞の細胞体ではGFP陽性のオートファゴソームはごく少数しか認められなかった。このことからIE180の発現がマウス個体のオートファジー機能を阻害すると考えられた。また、IE180/GFP-LC3 Tgマウスで稀に認められるGFP強陽性のプルキンエ細胞では、核および細胞質内にIE180が強発現していた。また、このようなIE180とGFP-LC3が共発現する細胞は若齢時には少数ながら認められるものの加齢と共に消失していった。したがって、IE180/GFP-LC3 Tgマウスの神経細胞ではIE180発現により一過性にオートファゴソームが活性化するが、やがてそれらの細胞は正常なオートファジー機能を維持できず細胞死すると推察された。
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Research Products
(3 results)