2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内寄生原虫ネオスポラ流産関連因子の機能解析及びワクチン開発への応用
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21780262
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
西川 義文 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (90431395)
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Keywords | 家畜原虫病 / 家畜の流産 / ネオスポラ / ワクチン / 免疫 |
Research Abstract |
本研究は、家畜原虫病の一つネオスポラ症のワクチン開発を目指し,ネスポラ流産関連因子NcGRA7の生理機能の解明とNcGRA7特異的T細胞の誘導方法の確立を目的とした。 前年度の結果より、ネオスポラから放出されたNcGRA7はTLR2/4依存的に細胞を活性化し、炎症反応を誘導することが示唆された。そこで、NcGRA7をターゲットにしたワクチンを作製し、マウスの感染モデルを用いてワクチン効果を評価した。オリゴ糖リポソーム内にNcGRA7(OML-NcGRA7)を封入したワクチンを作製しマウスに投与したところ、母マウスにおけるネオスポラの脳内感染率と仔マウスへの垂直感染を抑制する結果が得られた。OML-NcGRA7を接種したマウスではNcGRA7特異抗体の産生が認められ、ワクチン接種マウスより回収したリンパ球はネオスポラ抗原に特異的に反応した。これらの結果は、OML-NcGRA7が宿主免疫反応を刺激し、ネオスポラ特異的なT細胞の応答を誘導することでワクチン効果を発揮していることを示している。 次に、ウシにおけるNcGRA7組換えタンパク質のT細胞活性化能を評価した。ホルスタイン牛から末梢血単核球(PBMC)を分離しNcGRA7を作用させたところ、IFN-γの産生が確認された。さらにOML-GRA7を接種したウシ由来のPBMCの場合でも、NcGRA7の刺激によりIFN-γの産生が確認された。NcGRA7を抗原としたELISAによりネオスポラ感染牛の血清を解析したところ、NcGRA7特異抗体が検出された。これらの結果は、NcGRA7がウシにおいても免疫原性の高い抗原であることを示している。 今回の研究により、NcGRA7の抗原性とワクチン効果が明らかになり、ネオスポラ症のワクチン開発に大きく前進する成果を得ることができた。
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