2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 健太郎 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (30401178)
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Keywords | プロテインキナーゼ / 酵素 / 原虫 / 基質 / 宿主細胞侵入 |
Research Abstract |
アピコンプレックス類に属する原虫は形態的・遺伝学的に共通の特徴を持ち、家畜に重篤な症状、経済的損失を引き起こす。しかしながら、その特異な遺伝子配列から分子生物学的解析は遅れ、その対策が急務となっている。研究代表者らが小麦胚芽無細胞蛋白質合成系を利用することで確立した原虫酵素、特に細胞内シグナル伝達で中心的役割をなすプロテインキナーゼ(PK)の発現・精製系を用いて、本研究では原虫PKの基質蛋白質同定を目指した。特に、原虫の宿主細胞侵入に大きな役割を果たしていると考えられるカルシウム依存性プロテインキナーゼ(Calcium dependent protein kinase(CDPK))の機能発現機構を基質、会合分子との相互作用の点から解析を行った。 今年度は、原虫の保存しているCDPKの中から、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)のCDPK isoform 3(TgCDPKif3)、TgCDPK1、及びマラリア原虫(Plasmodium falciparum)のPfCDPK4について性状解析を行った。TgCDPKif3については、宿主細胞への侵入時の動力装置の構成蛋白質であるaldolaseを基質としてリン酸化し、その侵入に関係していることが示唆された。TgCDPK1は以前より宿主細胞への侵入時に重要な役割を果たしていることが報告されていたが、今回の解析から原虫の滑走運動を直接制御していることが明らかとなった。また、PfCDPK4は有性生殖期の雄性ガメトサイトにおいて特異的に発現していることがいることがわかった。これらの解析結果は、原虫の遺伝子発現機構、シグナル伝達機構の根本的な解明、抗原虫薬・原虫ワクチンの開発に有用な基礎的データの蓄積につながると考えられる。
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