2010 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞の骨分化に関わるデコリン糖鎖種の同定・機能解析と骨組織再生
Project/Area Number |
21780265
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
保坂 善真 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00337023)
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / 骨の分化と再生 / 細胞外マトリクス / CS-E / 高硫酸化多糖 / BMP-4 / スキャフォールド / ヘパリン |
Research Abstract |
昨年度は間葉系幹細胞(MSC)の骨分化を促進する糖鎖種が、高度に硫酸化されコンドロイチン硫酸であるCS-Eであることを同定した。今年度は生体内でのCS-Eの骨再生能の機能を形態学的に分析し・骨組織の再生を試みた。 Wistarラットの頭蓋骨に直径5ミリメートルの欠損を作成し、欠損部にはCS-E含有スキャフォールド(コラーゲンスポンジ)を埋入した(CS-E群)。比較として、CS-Eと協働して骨再生能を促進するとの報告のあるBMP-4を併せて投与した群(C+B群)とヘパリンを投与した群(ヘパリン群)を設置した。手術後15週目に頭蓋骨を採取し、欠損部位の骨の充填度合いを指標に骨再生量を評価した。ヘパリン群の充填率は15%であったが、CS-E群およびC+B群で欠損部の充填度合いが約30%を越え優位性を示した。また、再生組織の大部分で、骨マーカーであるオステオカルシンやオステオポンチン、Runx2に陽性を示し、骨が再生されていることを形態学的にも裏付けることができた。In vitroではBMP-4が加わることでCS-Eの骨再生能が強力に促進するとの報告があるが、今回の実験ではCS-Eが生体内でも骨形成能を有すること、そして、生体内に存在するBMP-4との相互作用で骨再生が可能であることを示唆した。 今後は骨組織の充填率を向上させるためには、適切なスキャフォールドの選択や間葉系幹細胞の追加などを考慮する必要があるだろう。
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