2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゴルジ体タンパクgiantinの発生過程における機能の解析
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21780266
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
片山 健太郎 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (50508869)
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Keywords | Giantin / ゴルジ体 / 骨軟骨形成 / 繋留因子 |
Research Abstract |
ocd/ocdラットが呈する皮下水腫が血管系もしくはリンパ管系の異常に起因するのかを明らかにするため、胎齢21.5日の胎子の心臓もしくは皮下にエバンスブルー溶液を注入し、血管透過性、およびリンパ管の構造と間質液の回収能を調べた。その結果、ocd/ocdでは血管内のエバンスブルーが野生型よりも早く拡散したことから、血管透過性が亢進している可能性が示唆された。また、野生型では皮下に注入されたエバンスブルーを取り込んだ太いリンパ管が観察された。一方、ocd/ocdではエバンスブルーのリンパ管への取り込みは認められたが、網目状の細いリンパ管のみが観察され、野生型で見られた太いリンパ管は観察されなかったことから、ocd/ocdではリンパ管の形成に異常が生じている可能性が考えられた。これらの結果から、ocd/ocdラットが呈する皮下水腫には、血管透過性の亢進およびリンパ管の異常が関与している可能性が考えられた。 ocd/ocdラットが呈する表現型の原因遺伝子であるゴルジ体タンパクGiantinの機能欠損がゴルジ体の構造にどのような影響を及ぼすのかを調べた。1)ゴルジ体タンパクに対する抗体を用いた免疫蛍光法を行った結果、ocd/ocdの線維芽細胞においても野生型と同様のゴルジ体の層板構造を示すことが明らかになった。2)ブレフェルジンAでゴルジ体を分解後、ゴルジ体の再構築の過程を経時的に調べた。その結果、野生型の線維芽細胞では再構築開始から30分後にはほぼ全ての細胞でゴルジ体の層板構造が観察されたが、ocd/ocdの線維芽細胞では層板構造は示さず、小胞状の構造を示す細胞もしくは層板と小胞状の構造の中間的な、短い板状の構造を示す細胞が半数以上観察された。これらの結果から、Giantinを欠損してもゴルジ体の層板構造は構築されるが、ゴルジ体の再構築は遅延することが明らかになった。
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