2009 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルスの抗原変異に伴う立体構造変化の解析
Project/Area Number |
21780272
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
五十嵐 学 Hokkaido University, 人獣共通感染症リサーチセンター, 博士研究員 (10374240)
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Keywords | インフルエンザ / ウイルス / 感染症 / 生体生命情報学 / 計算科学 / 分子シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、計算科学およびバイオインフォマティクス手法を用いて、インフルエンザウイルスの抗原変異に伴う抗原構造の変遷をアミノ酸変化と立体構造の変化から明らかにすることを目的とし、以下の研究を遂行した。 また、過去にヒトで流行したインフルエンザウイルスの抗原変異解析の結果に基づき、本年度パンデミックを起こした新型インフルエンザ(2009H1N1)ウイルスの抗原変異予測を試みた。 1.アミノ酸変異履歴の作成 (1)データベース(DB)解析によるアミノ酸変異履歴の作成 過去にヒトで流行を起こしたインフルエンザウイルス(H1N1, H2N2, H3N2)のアミノ酸置換の変遷を時系列的に解析し、変異履歴を作成した。 (2)変異株のHA蛋白質の構造構築 ホモロジーモデリング法を用いて、ヒトで流行を起こしたインフルエンザウイルス(2009H1N1ウイルスを含む)の抗原変異株のHA蛋白質構造を構築した。 2.2009H1N1ウイルスHAの抗原構造の解析 上記(2)で構築したホモロジーモデルを用いて、1918年のH1N1パンデミック株、その子孫である2007年のH1N1ワクチン株、2009H1N1の原型株でHAの抗原構造を比較した。2009H1N1と1918H1N1のHA抗原領域のアミノ酸は、よく保存していることが分かった。特に、SaおよびSb領域は構造的にも、よく似ていた。したがって、ヒト集団間で2009H1N1ウイルスも、1918H1N1ウイルスと同様の抗体で選択されると仮定した場合、2009H1N1でも、これらの領域に変異が蓄積し、同様の抗原変異が起こる可能性が予想される。DB解析では、実際に、1918H1N1と同様のアミノ酸変異を起こしているvariantが、すでに分離されていることが分かった。また、糖鎖付加を伴う抗原変異についても、1918H1N1の流行開始当初と同様の部位で起こる可能性が予想された。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] A novel copper(II)coordination at His186 in full-length murine prion protein2010
Author(s)
Yasuko Watanabe, Wakako Hiraoka, Manabu Igarashi, Kimihito Ito, Yuhei Shimoyama, Motohiro Horiutchi, Tohru Yamamori, Hironobu Yasui, Mikinori Kuwabara, Fuyuhiko Inagaki, Osamu Inanam
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun (in press)
Peer Reviewed
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[Journal Article] Different potential of C-type lectin-mediated entry between Marburg virus strains2010
Author(s)
Keita Matsuno, Noriko Kishida, Katsuaki Usami, Manabu Igarashi, Reiko Yoshida, Eri Nakayama, Masayuki Shimojima, Heinz Feldmann, Tatsuro Irimura, Yoshihiro Kawaoka, Ayato Takada
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Journal Title
Peer Reviewed
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