2010 Fiscal Year Annual Research Report
高病原性鳥インフルエンザ感受性に果たす宿主サイトカイン応答の役割
Project/Area Number |
21780275
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
笛吹 達史 鳥取大学, 農学部, 講師 (80508482)
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Keywords | 高病原性鳥インフルエンザ / H5亜型 / H7亜型 / サイトカイン / ニワトリ / ウズラ |
Research Abstract |
本研究は、高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAIV)感染に対する鳥類宿主の免疫応答の解析を通じ、鳥種による病態の違いやそれに関わる免疫要因を解明することを目的とする。そこで、野外でインフルエンザウイルスの宿主となる家禽(ニワトリ、アヒル、ウズラ)を対象にHPAIV感染実験を行い、サイトカインなど免疫関連遺伝子のmRNA発現動態を評価することとした。 これまでにニワトリおよびウズラの免疫関連遺伝子について、リアルタイムPCR法によるmRNA定量系を構築した。これらを用いて感染動物における免疫関連遺伝子の発現動態を解析するため、はじめに、H5N1亜型HPAIVによる予備的な感染実験を行った。実験感染について研究報告の少ないウズラを用い、攻撃株として2010年に鳥取県のコハクチョウから分離したH5N1亜型ウイルスを使用した。その結果、HPAIV感染ウズラより感染24、48、72時間後に調製した脾臓細胞では、抗ウイルス作用をもつIFNα、炎症性サイトカインであるIL-6、IL-8の発現が徐々に増加する傾向が認められた。今後は羽数を増やし、ニワトリ、アヒルでも同様の感染実験を行う予定である。これに並行して、H7亜型の攻撃株を作製するため、2009年に愛知県のウズラから分離した低病原性H7N6亜型ウイルスの強毒化を試みた。ウズラ及びニワトリを用いて継代を繰り返した結果、HA開裂部位に塩基性アミノ酸の挿入が認められた。高病原性へと変異した可能性が考えられることから、ニワトリ静脈内接種病原性試験を行う必要がある。強毒化が認められた場合には、継代前後のH7亜型ウイルスを用いて、ニワトリ、ウズラ、アヒルに対する病原性と免疫応答について解析する予定である。
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