2009 Fiscal Year Annual Research Report
フラビウイルス脳炎の重症化・致死性に関わる病原性発現機序の解析
Project/Area Number |
21780281
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
早坂 大輔 Nagasaki University, 熱帯医学研究所, 助教 (10346926)
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Keywords | ウイルス / 脳神経疾患 / 感染症 / 獣医学 |
Research Abstract |
フラビウイルス脳炎の重症化に関わる病原性発現機序を調べるために、ダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)Oshima株および日本脳炎ウイルス(JEV)JaOArS982株を感染させたマウスモデルを用いた解析を行った。 1. TBEV Oshima株中に含まれるsmallおよびlarge plaque typeクローンのそれぞれをマウスに皮下接種させたところ、small plaque typeはマウスに病原性を示さなかった。一方、large plaque typeではほとんどのマウスで体重減少および臨床症状が確認されたが、そのうち一部のマウスだけが死に至り、残りは回復した。このことから、TBEV Oshima株の親株には病原性の異なるウイルスが混在していることが示唆された。 2. JEV S982株をマウスに皮下接種させたところ、ほとんどのマウスが発症したが、一部のマウスだけが重症化後死に至り、残りは軽症で回復した。重症個体の大脳皮質内のウイルス量は10^6pfu/g組織以上であったが、軽症個体のなかにも同程度のウイルス量を示す個体がみられた。重症個体は軽症個体にくらべ、大脳皮質のGFAP、TNF alpha、IL-10の増加、IL-2、IL-4の低下がみられた。一方、脾臓においてはIL-10の増加、TNF alpha、IFN gamma、IL-4、CD3、CD8の低下がみられた。また、血清中のコルチコステロン、IL-10の上昇がみられた。これらのことから、日本脳炎ウイルス感染における重症化の病態発現機序には神経組織へのウイルス感染に加え、全身性の免疫およびストレス応答のバランスが重要であることが示唆された。
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