2010 Fiscal Year Annual Research Report
フラビウイルス脳炎の重症化・致死性に関わる病原性発現機序の解析
Project/Area Number |
21780281
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
早坂 大輔 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (10346926)
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Keywords | ウイルス / 脳神経疾患 / 感染症 / 獣医学 |
Research Abstract |
フラビウイルス脳炎は、重症化し髄膜炎・脳炎を起こすと致死性が高く、回復しても患者の多くは後遺症が問題となるが、その機序については不明な点が多く特異的な予防・治療法は確立されていない。 昨年度の本研究成果において感染個体のIL-10やTNFα応答が重症化に関係していることが示唆された。そこで本年度の研究では宿主側要因としてTNF、IL-10に着目した解析を行った。 1)ダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)Oshima株および日本脳炎ウイルス(JEV)S982株をIL-10 B6 KOマウスに感染させたところ、両ウイルスともにB6マウスにくらべて致死性の増加がみられた。しかしながら、両ウイルスとも中枢神経組織内のウイルス量はB6マウスにくらべて有意な差がなかったことから、致死性の増加すなわち重症化には感染個体の免疫応答が関わっている可能性が示唆された。 2)一方、TBEV Sofjin株およびJEV JaTH160株感染では、IL-10 B6 KOマウスとB6 KOマウスに致死性の違いがなかったため、これらのウイルス感染による重症化にはIL-10応答の影響は少ないものと思われた。 3)TBEV Oshima株およびJEV S982株をTNFR1 KOマウスに感染させたところ、TBEV Oshima株感染では致死性の増加がみられたが、JEV S982株感染では致死性に有意な差がなかった。したがって、TBEV Oshima株感染ではTNF応答が関連した感染応答が重症化に影響を及ぼしている可能性が示唆された。 4)一方、TBEV Sofjin株およびJEV JaTH160株感染ではTNFR1 KOマウスとB6 KOマウスに致死性の違いがなかったため、これらのウイルス感染による重症化にはTNF応答の影響が少ないものと思われた。
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[Presentation] The mechanism of severe form of Japanese encephalitis virus infection2010
Author(s)
Daisuke Hayasaka, Yoshiki Fujii, Dihn Tuan Duc, Hitomi Kinoshita, Kazuki Kitaura, Noriyo Nagata, Naoko Iwata, Kanae Tanaka, Tetsutaro Sata, Ryuji Suzuki, Kouichi Morita
Organizer
US-Japan 44^<th> Joint Working Conference on Viral Diseases, Sapporo
Place of Presentation
札幌、北海道大学百年記念会館
Year and Date
2010-06-29
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