2010 Fiscal Year Annual Research Report
牛ピロプラズマ病抗病性をもたらす牛赤血球膜グライコフォリンAの分子多型解析
Project/Area Number |
21780282
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大塚 弥生 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 博士研究員 (30396303)
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Keywords | 牛ピロプラズマ病 / グライコフォリンA / シアロ糖蛋白質 / 受容体 / シアル酸 |
Research Abstract |
本研究は牛赤血球膜グライコフォリンA(GPA)が赤血球膜上で形成する500kDa以上の高分子複合体(GPAオリゴマー)の構造と性状を解明し、牛の品種・系統による違いが知られている牛ピロプラズマ病に対する抗病性との関連性を解析する基盤を形成することである。初年度同定したGPAオリゴマーの構成成分GPA、GPB、CD58、Band 3について、複合体形成をCHO細胞を用いて試みた。GPAの単独発現ではモノマーとホモダイマーが形成されたが、GPBはモノマーのみ産生された。続いてGPAと共にGPB、CD58、あるいはBand3をそれぞれCHO細胞に導入し複合体形成の有無を解析したところ、いずれも細胞膜に発現することが確認できたが、それらはすべてモノマーとして存在し、複合体形成は認められなかった。一方、健常牛の赤血球膜画分ではGPAモノマー、ダイマー、オリゴマーが検出されたが、Band 3欠損牛の赤血球膜におけるGPAモノマー、オリゴマー量は著しく少なく、ダイマーは検出できなかった。これらの結果から、GPAの高分子複合体形成には、その構成成分であるGPA、GPB、CD58、ならびにBand 3のうち、Band 3を含む少なくとも3種以上の分子が必要であることが推測された。さらに初年度にてGPAオリゴマーの遺伝的規則性は、品種・系統ではなく血液型Fシステムが関与しており、その血液型抗原はGPBであることを見いだした。本年度はFシステムにて分類した牛赤血球を用いて、単核細胞にて試験管培養されている病原寄生原虫との共培養実験を行った。しかし原虫の単核細胞から赤血球内への移行はいずれの赤血球でも認められず、抗病性の評価には至らなかった。
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