2010 Fiscal Year Annual Research Report
牛卵胞の体外培養系を用いた卵胞選抜機構の解明と野生動物種への応用
Project/Area Number |
21780286
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永野 昌志 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (70312402)
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Keywords | 体外受精 / 卵胞発育 / 猫科動物 |
Research Abstract |
牛初期胞状卵胞由来卵母細胞を線維芽細胞成長因子7(FGF7)添加あるいは無添加で培養を行い、卵母細胞の発育と顆粒層細胞の増殖を調べた。その結果、FGF7添加区では無添加区に比べて卵母細胞直径が増大し、顆粒層細胞数が増加する傾向がみられた、しかし、FGF7添加の有無にかかわらず培養14日目以降に卵母細胞の生存率は大きく低下した。次に、FGF7添加あるいは無添加区の14日間培養した卵母細胞をIBMX添加培地を用いて20時間前培養した後、成熟培養を行った。その結果、FGF7添加の有無にかかわらず、前培養の後に成熟培養を行った卵母細胞は体内発育卵母細胞と同等の高い各成熟率を示した。これらの卵母細胞の体外受精後の発生能を調べた結果、FGF7添加の有無にかかわらず、前培養を行わなかった卵母細胞に比べて体外受精後の卵割率および胚盤胞への発生率が高くなることが示された。 生後20日以前から約120日齢までの子猫卵巣を用いて卵胞・卵子の発育動態と採取される卵子の発生能について検討を行った結果、生後20~40日程度で全ての検査個体において胞状卵胞が確認された。しかし、この時期の胞状卵胞は平均直径300μm以下と小さく、体外受精を行うための卵子を採取することが困難であった。生後100日程度の子猫の状卵胞の平均直径は約400μmとなり体外受精に使用可能な卵子を採取することが出来た。これらの卵子の核成熟率は性成熟猫と比べて低いものの、核成熟卵子については受精後の胚盤胞への発生能は性成熟猫由来卵子と同等であった。また、卵子の直径増加に伴って卵子発生能が向上することを明らかにするとともに、卵子周囲を覆う卵丘細胞の膜機能を評価することによって発生能の高い卵子を簡便に選別する方法を開発した。
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