2011 Fiscal Year Annual Research Report
猫の肝リピドーシスにおける脂肪酸代謝解析とPPARsリガンドによる治療効果の検討
Project/Area Number |
21780287
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
西飯 直仁 鳥取大学, 農学部, 講師 (20508478)
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Keywords | 猫 / 肝リピドーシス / PPARs |
Research Abstract |
本研究では猫の肝リピドーシスモデルの作成を行い、その代謝異常について解析することを目的としている。前年度より複数のアプローチにより猫の肝リピドーシスモデルの作成を試みてきた。高脂肪食の自由給餌により、猫の体重は平均26.2%増加した。その後の食事制限により、猫の体重は7週間で平均21.4%減少した。クリノフィブラート投与群と対照群において体重の変化に有意な差はみられなかった。血液検査では黄疸など明らかな肝不全の徴候はみられなかったが、BCAA/チロシン比の低下より肝機能の低下が示唆された。血液化学検査の変化においてもクリノフィブラート投与群と対照群において有意な差はみられなかった。 脂肪肝の誘導効果について調べるため、肝臓のトリグリセリド含有量をTru-cut生検材料を用いて測定した。肝臓からの抽出液は蛋白濃度をBCA法によって測定し、トリグリセリド濃度を蛋白濃度で除して標準化した。肝臓のトリグリセリド含量は対照群では有意な変化がみられなかった。いっぽう、クリノフィブラート投与群では117%の有意な増加がみられた。この結果、本研究で用いた脂肪肝誘導法では対照群で明らかな脂肪肝誘導が得られず、手法として不十分であると考えられた。しかし、クリノフィブラート投与群では同様の方法で明らかな脂肪の蓄積がみとめられたことから、クリノフィブラートには肝臓へのトリグリセリド蓄積作用があることが示唆された。当初の仮説とは逆の結果となったが、今後は同時に採取した肝臓サンプルを用いて組織学的な検討を行うとともに、クリノフィブラート投与による脂質代謝の変化について解析していく予定である。これにより、猫におけるクリノフィブラート投与の危険性とそのメカニズムが明らかとなることが期待される。
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