2009 Fiscal Year Annual Research Report
犬の乳腺腫瘍に特有な筋上皮細胞増殖を介した骨・軟骨形成機構の解明
Project/Area Number |
21780293
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
道下 正貴 Nippon Veterinary and Life Science University, 獣医学部, 助教 (50434147)
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Keywords | 犬 / 乳癌 / 癌幹細胞 / 筋上皮細胞 |
Research Abstract |
犬の乳腺腫瘍は、乳腺上皮細胞の腫瘍性増殖に加え、筋上皮細胞の腫瘍性増殖および骨・軟骨形成(複合型乳腺腫瘍)を示し、さらにそれらの骨・軟骨の腫瘍化(乳腺混合腫瘍)を高頻度に伴う特有の腫瘍である。これまでの研究から骨、軟骨組織の起源は筋上皮細胞が示唆されているが、それらの分化および腫瘍形成機構は未だ解明されていない。近年提唱されている癌幹細胞説に基づくと、腫瘍組織においても幹細胞の特性を有する乳癌幹細胞が存在し、それから生じる腫瘍性乳腺上皮細胞および腫瘍性筋上皮細胞からなる腫瘍組織を形成することが示唆される。本研究はALDEFLUORアッセイを用いて犬乳癌幹細胞を濃縮するALDH^+細胞を同定し、筋上皮細胞への分化能および軟骨、骨への分化能・腫瘍形成能を解析する。まず樹立された犬乳癌細胞株4株を用いてALDEFLUORアッセイを行い、いずれもALDH^+細胞を認めた。ALDH^+細胞のほとんどがCD44^+CD24^-細胞であった。次にALDH^+細胞をセルソーターで分取し、自己複製能を解析したところ、3株においてALDH^+細胞がALDH^-細胞と比較し、浮遊細胞塊形成能が有意に高かった。さらにCHMp株について分取した細胞集団の免疫不全マウスにおける腫瘍形成能をけんさくした調べたところ、ALDH^+細胞の方が高い腫瘍形成能を示した。またALDH^+細胞から形成された腫瘍組織をALDEFLUORアッセイすると、ALDH^+細胞だけでなくALDH^-細胞も認められた。以上の結果から、犬乳癌組織中にも乳癌幹細胞の存在が証明され、ALDEFLUORアッセイは有用なツールであると考えられる。現在、複合型乳腺腫瘍および乳腺混合腫瘍の外科切除材料およびそれらの初代培養細胞からALDH^+細胞を同定、分取し、分化誘導培地を用いて腫瘍性乳腺上皮細胞および筋上皮細胞の分化能を評価している。
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Research Products
(7 results)