2011 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースを基質とした選択的アセトン・ブタノール生産システムの構築
Project/Area Number |
21780299
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
中山 俊一 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (90508243)
|
Keywords | セルロース / ブタノール生産 / Clostridium属細菌 / 稲わら |
Research Abstract |
本研究は、非食料資源であるセルロース系バイオマスを基質とした選択的アセトン・ブタノール生産システムの構築を目的とした。前年度までにセルロース資化性Clostridium属細菌とアセトン・ブタノール生産菌との混合培養により結晶性セルロースから選択的にブタノール生産が可能であることを見出しており、本年度は植物バイオマスの中でも特に稲わらからのブタノール生産系の構築を目指し、さらに混合培養時における選択的ブタノール生産機構の解明を行った。 稲わらを基質とした場合、リグニンの存在により稲わら分解が進まずブタノール生産量は低かった(1.2g/L)。一方、Na0Hを用いて脱リグニンした稲わらを基質とした場合は2.5g/Lのブタノールを生産し2倍生産量が増加した。さらに、セルラーゼを培養系に添加することで最大5.6g/Lのブタノールを生産することが可能であった。 通常ブタノール生産菌はアセトンを副産物として生産するものの、本混合培養系では選択的にブタノールのみが生産される。これはセルロース分解菌の生産する水素によって培養系がより還元状態になるために、還元力を利用しないアセトン生成が減少し、還元力を利用するブタノール生産系が増強されるためであると推測した。これと一致するように、混合培養系では酸化還元電位がより低下しており、エレクトロンフローが水素生成ではなく還元力生成へと向かうため選択的にブタノールが生産されることを明らかにした。 以上より、脱リグニンした稲わらを利用することで植物資源である稲わらから石油代替燃料として利用可能なブタノールを選択的に生産することが可能であることを見出し、本研究は循環型社会の形成の一端を担うことが期待された。
|
Research Products
(2 results)