2010 Fiscal Year Annual Research Report
耐酸性窒素固定細菌群の接種・定着化による酸性土壌でのイネの生育促進機構の解析
Project/Area Number |
21780300
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
相澤 朋子 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (60398849)
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Keywords | 応用微生物 / 環境 / 植物 / ストレス / 糖鎖 |
Research Abstract |
急激な増加を続ける地球人口を支える食糧増産のために、陸地面積の約30%を占める耕作に適さない「問題土壌」の耕作地への転換が求められている。この問題土壌の約30%は酸性硫酸塩土壌(acid sulfatesoil : ASS)を含む酸性土壌であり、低pHに加え、その強酸性で各種金属類が可溶化する金属過剰害、土壌中のリン酸が金属塩と結合、不溶化する低リン酸ストレス、窒素固定菌の活性低下による窒素不足などによる植物の生育阻害が農業上の深刻な問題となっている。特に窒素化合物の供給には窒素固定が望まれており、本研究ではこれら酸性土壌環境に適応する酸耐性窒素固定菌、植物共生微生物、およびこれら微生物の生産する様々な有用物質を用い、酸性土壌への活用法を検討する。本年度は、これら有用微生物の機能の解析をさらに進めるとともに、新規分類群に属すると予想される微生物の分類学的性状について検討を加え、以下のように新種提案を行った。タイのASSに自生する植物(Panicum repens)から、アンモニアの生成により周囲を中性化する菌株を得た。これはBurkholderia属に属していると推定され、類縁する基準株との分類学的性状を詳細に検討した結果、本菌株を新種Burkholderia bannensisとして提案した。また、タイ、およびベトナムのASSに自生する植物(Panicum repensおよびEleocharis dulcis)からアルミニウム耐性菌のBurkholderia acidipaludisおよびAcidocella aluminiiduransを新種として提案した。さらに、ベトナムのASSに自生する植物(Eleocharis dulcis)から酸耐性窒素固定菌としてBurkholderia heleia等を新種として提案し、承認された。
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