2009 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌および細菌を用いた環状ジエン系有機塩素化合物のバイオレメディエーション
Project/Area Number |
21780301
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
亀井 一郎 University of Miyazaki, 農学部, 准教授 (90526526)
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Keywords | ディルドリン / エンドサルファン / 白色腐朽担子菌 / Phlebai brevispora / Trametes hirsuta / 生物分解 / 代謝変換 / バイオレメディエーション |
Research Abstract |
ディルドリンの分解能を指標に選抜された担子菌の分子系統学的解析から、Phlebia brevisporaと同種であることが明らかとなった。Phlebai brevisporaは塩素化ダイオキシンの水酸化能に優れており、ディルドリンの代謝物も水酸化物であることから本菌の幅広い基質特異性に興味が持たれた。 また、エンドサルファンを分解可能な担子菌の中で、Trametes hirsutaが有害な中間代謝物であるエンドサルファンサルフェートをほとんど蓄積しないことが明らかとなった。また、T.hirsutaは10日間でエンドサルファンサルフェートを約70%分解することが示された。代謝物を検出した結果、エンドサルファンジオール,エンドサルファンラクトン,エンドサルファンエーテル,エンドサルファンジメチレンが検出された。すなわちT.hirsutaは、既報と同様にエンドサルファンをエンドサルファンサルフェートへと変換するが、さらにエンドサルファンサルフェートを加水的に分解することが明らかとなった。また、中間代謝物を基質として用いて代謝試験を行った結果、エンドサルファンジメチレンはエンドサルファンジオール、エンドサルファンラクトン,エンドサルファンエーテルを分解基質とした処理区からは検出されず、エンドサルファンサルフェートからのみ検出されることが示された。エンドスルファンからのエンドスルファンジメチレンの形成は細菌類による分解過程で報告があり、細菌の持つモノオキシゲナーゼが関わることが報告されている。これらのことから、T.hirsutaは真菌でありながら細菌で報告されている分解経路を併せ持つことが示された。これらの結果は代謝経路についての基礎的な興味だけでなく、エンドスルファンにより汚染されたサイトの生物的浄化に用いるための有力な候補であることを示している。
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