2010 Fiscal Year Annual Research Report
膜結合型NAC転写因子(ANAC078)の標的遺伝子の同定と活性化機構の解明
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21780310
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
薮田 行哲 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00379562)
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Keywords | 転写因子 / ANAC078 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
昨年度までにANAC078過剰発現株を用いたマイクロアレイ解析により、ANAC078の標的遺伝子の同定を行った。その結果、昨年度に報告したフラボノイド合成の制御に関わる転写因子以外にもプロテアソームのサブユニットをコードする13の遺伝子が誘導されていることを見出した。そこで本年度はANAC078を介したこれらの遺伝子の発現制御機構について解析を行った。先ずこれらの遺伝子の発現をリアルタイムPCRにより確認したところ、野生株と比較して全て上昇していた。一方ANAC078遺伝子破壊株では野生株と比較して顕著な差は認められなかった。次に強光条件下におけるこれらの遺伝子の発現解析を行ったところ、発現の上昇が認められ、特にANAC078過剰発現株では顕著であった。またこれらの誘導はANAC078遺伝子破壊株では顕著に抑制されていた。次に20Sおよび26Sプロテアソームレベルをウエスタンブロッティングにより解析を行ったところ、転写レベルと同様の挙動を示した。蛍光基質を用い、26Sプロテアソーム活性を測定したところ、強光条件下では全ての植物において活性の低下が認められた。しかとながら、通常および強光条件下におけるANAC078過剰発現株では野生株と比較し、有意な活性の上昇が認められた。またプロテアソーム阻害剤であるMG132処理により、全ての植物でポリユビキチン化タンパク質の蓄積が認められ、特にANAC078遺伝子破壊株ではそれは顕著であった。以上のことから、ANAC078はプロテアソームレベルの制御に関与していることが明らかとなり、強光下におけるプロテアソームを介した防御機構が存在することが示唆された。そこで、これらの植物の強光ストレス耐性能を評価したところ、ANAC078過剰発現株では野生株およびANC078遺伝子破壊株と比較しPSII活性は有意に維持されていた。
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