2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮tip細胞のマスターレギュレーターとしてのZF50の機能解析
Project/Area Number |
21780312
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大貫 秀隆 Ehime University, 医学部, 研究員 (60432803)
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Keywords | 血管新生 / 血管内皮細胞 / VEGF / Notchシグナル / tip細胞 / 転写因子 |
Research Abstract |
固形腫瘍は自身の増大のために、新しい血管の誘導とそれにより供給される血液が必要である。そのため、腫瘍が誘導する血管新生を阻害することは、有効な腫瘍治療法となる。 一方、新生血管の先端の血管内皮細胞(tip細胞)は、血管新生に必須の細胞であり、かっ、血管新生時にのみ誘導されてくる。しかし、その細胞内での誘導・維持機構は全く分かっていない。従って、tip細胞の誘導維持機構が明らかになれば、定常血管には影響を与えず、新生血管の形成を特異的に阻害する治療法の開発が可能になる。 我々は、VEGFの下流で働く転写因子を探索した結果、tip細胞の誘導因子であるVEGFと抑制因子であるNotchのシグナル経路を結びつける新規転写因子ZF50を見出した。このZF50を過剰発現させことにより、VEGF非依存的にtip様細胞を誘導することができた。さらに、ZF50によるNotchシグナルの制御機構を解析し、以下のことを明らかにした。 1. ZF50は核内でNotchシグナルを受け取る転写因子であるCBF1と結合する。 2. ZF50はそのzinc fingerドメインを介して、CBF1と結合する。 3. CBF1は1-178番目のアミノ酸を介して、ZF50と結合する。 4. VEGFはZF50を誘導することにより、CBF1を分解し、Notchシグナルを抑制する。 ZF50はzinc fingerタンパク質ファミリーに属する。Zinc fingerドメインは従来、DNA結合ドメインであると考えられてきた。平成21年度の研究成果は、ZF50のzinc fingerドメインが特定のタンパク質認識に用いられていることを示唆している。このタンパク質認識機能は、CBF1の分解において、どのような役割を果たしているのかを、今後明らかにしていく予定である。
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