2009 Fiscal Year Annual Research Report
麹菌の糖鎖リモデリングを目指した新規な糖転移酵素遺伝子の機能解明
Project/Area Number |
21780313
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
岡 拓二 Sojo University, 生物生命学部, 助教 (50510690)
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Keywords | 糸状菌 / 麹菌 / 細胞壁 / 糖鎖 / 糖鎖工学 / 糖鎖リモデリング / ガラクトフラナン |
Research Abstract |
麹菌を含むアスペルギルス属の持つ酵素の多くはグリコシル化されている。タンパク質は、グリコシル化されることによって機能性が変化し、多様化することが知られている。アスペルギルス属のタンパク質に結合するN-結合型糖鎖と0-結合型糖鎖の非還元末端側には、ガラクトフラノースやグルコースなど他の生物では見られない特殊な糖鎖が付加されている。しかし、これら糖鎖の生合成に関与する糖転移酵素や、その生理的機能に関する知見は皆無である。そこで本研究では、この糸状菌に特徴的な糖鎖であるガラクトフラノース糖鎖に注目し、ガラクトフラノース糖鎖の生合成に直接関係する糖転移酵素遺伝子を同定すると共に、その生理的意義や機能について基礎的知見を得、麹菌の糖鎖リモデリングに活用することを目的とする。生物情報を基にデーターベースより選抜した候補遺伝子16個すべての遺伝子について遺伝子破壊株を取得して、タンパク質糖鎖の構造を解析したところ、1っの破壊株で細胞壁中のガラクトフラナンが消失することが明らかになった。△gfsA株は、菌糸成長速度の低下、分生子形成能の著しい低下が認められた。さらに、細胞壁構成糖組成を分析したところ、細胞壁中のガラクトースが著しく減少していることが明らかになった。よって、本遺伝子をガラクトフラナン合成酵素遺伝子であると考え、gfsAと名付けた。真核生物において、ガラクトフラノース転移酵素遺伝子が同定されたことは無く、また、GfsAは、これまでに知られている細菌類のガラクトフラノース転移酵素とは全く構造の異なる新規なタンパク質酵素であった。
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