2009 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子の翻訳後調節を介した植物の乾燥・高温ストレス伝達機構の解明
Project/Area Number |
21780314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝井 順哉 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (20469753)
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Keywords | モデル植物 / 環境ストレス / 発現制御 / 転写因子 / 翻訳後調節 |
Research Abstract |
乾燥や高温のような環境ストレスは、植物の生育を脅かし、農業生産を左右する。乾燥や高温ストレスに強い作物を開発する手段としては、植物が元来備えている耐性獲得システムを強化することが有効である。シロイヌナズナのDREB2Aは、乾燥・高温ストレスにすばやく応答し、耐性をもたらす遺伝子群の転写を活性化する転写因子である。本研究では、DREB2Aタンパク質の機能発現に必要だと考えられる、活性化機構の解明を目的としている。 1、大腸菌で発現させた組換えDREB2Aタンパク質を抗原として抗DREB2A抗体を作製し、シロイヌナズナの植物体で発現しているDREB2Aタンパク質、葉肉プロトプラストで一過的発現させたDREB2Aタンパク質を検出する系を確立した。植物体では、高温あるいは乾燥ストレスをあたえることでDREB2Aタンパク質が蓄積することが確認されたが、その蓄積量は高温ストレスにおいて特に多かった。従って乾燥ストレスと高温ストレスでは、DREB2Aの活性発現機構が違っている可能性がある。また、葉肉プロトプラストに高温ストレスを加えたところ、内生のDREB2Aに加え、構成的プロモーター下で一過的に発現させたDREB2Aの蓄積量が増加しており、プロトプラストで一過的に発現させたDREB2Aもストレスに応答することが分かった。 2、種子植物のDREB2A相同遺伝子の配列解析を行った結果、DREB2タイプの遺伝子は、4つのサブタイプに分かれ、ゲノム情報の利用可能な植物は、いずれも4つのサブタイプ遺伝子を持っていることが明らかになった。DREB2Aの属するサブタイプの遺伝子は、DNA結合ドメインの他、そのアミノ末端側に2か所、カルボキシル末端側に2か所の保存ドメインを持っていることが明らかになった。これらの保存配列は、DREB2Aの機能発現にとって重要な役割を果たしている可能性がある。
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Research Products
(11 results)