2010 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子の翻訳後調節を介した植物の乾燥・高温ストレス伝達機構の解明
Project/Area Number |
21780314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝井 順哉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (20469753)
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Keywords | モデル植物 / 環境ストレス / 発現制御 / 転写因子 / 翻訳後調節 |
Research Abstract |
昨年度、プロトプラストで一過的に発現させたDREB2Aタンパク質が、高温ショック条件で安定化することを見出した。そこで、DREB2Aタンパク質の浸透圧に対する応答を調べるために、DREB2Aを一過的に発現しているプロトプラストに対し、培地の浸透圧を上げる処理を行ったところ、一過的にDREB2Aタンパク質の蓄積量が上昇した。このことは、DREB2Aタンパク質の安定性が浸透圧ショックにより、一過的に向上することを示唆している。高温ショックや浸透圧ショックを加えた時のDREB2Aタンパク質の蓄積量はプロテアソーム阻害剤MG132を作用させた場合に匹敵していたので、これらのストレス条件下では、DREB2Aタンパク質のプロテアソームによる選択的分解が、ほぼ完全に停止しているのではないかと考えられた。同様の結果が、他の植物の相同遺伝子でも得られた。 DREB2Aから負の活性調節ドメイン(NRD)を欠損させると、安定性の高い恒常的活性型(DREB2A CA)になる。DREB2A CAを一過的に発現しているプロトプラストに、高温処理あるいはMG132処理を行うと、DREB2A CAの蓄積量が上昇した。したがって、DREB2Aの選択的分解はNRDに依存しない経路でも制御されていて、高温ショック条件では、この経路による分解も停止することが示唆された。 DREB2Aが蓄積するような条件下で、DREB2Aの活性化が起きているか調べるために、DREB2Aの結合配列であるDREを持つプロモーターにレポーター遺伝子をつなぎ、プロトプラストにDREB2Aと同時に導入して、ストレス処理後、レポーター活性を測定した。その結果、レポーター活性はストレスの有無にかかわらず、変化しなかったので、DREB2Aの安定化と活性化は同じ現象ではないことが示唆された。
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Research Products
(6 results)