2010 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性ルテニウム触媒を用いたエナンチオ場選択的エニンメタセシス反応の開発
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21790002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 望 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (80349258)
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Keywords | メタセシス / エニン / ルテニウム / カルベン錯体 / 含窒素ヘテロ環カルベン / ジエンイン / 不斉環化反応 / エンジイン |
Research Abstract |
メタセシス反応は多重結合の切断と同時に再び多重結合を形成するという極めて興味深い反応であり、現在の有機合成化学において極めて重要な炭素-炭素結合形成反応である。本研究は有機合成へ利用可能な新しいキラルビルディングブロックの創出を目的として、光学活性メタルカルベン錯体を新たに創製し、それを利用してこれまで全く報告例の無いプロキラルなエンジイン又はジエンインを基質とするエナンチオ場選択的エニンメタセシス反応の開発を目指すものである。平成22年度はまず平成21年度に引き続き、5-benzyloxy-5-ethynylhept-1-en-6-yne誘導体のエナンチオ場選択的環化反応の検討を行った。すなわちHoveydaらによって報告されているビナフトールを不斉配位子としたモリブデン錯体を用いて種々検討を行ったものの、いずれも反応は進行せず原料を回収するにとどまる結果となった。従って前年度の検討結果より光学活性NHC配位子を持つルテニウムカルベン触媒がモリブデン触媒よりも高活性であることが明らかになった。そこで、基質として5-benzyloxy-5-ethynylnona-1,8-diene誘導体を用いた不斉ジエンインメタセシスによるデカリン誘導体の不斉合成を検討した。様々な光学活性ルテニウムカルベン錯体を用いて最適条件を探るべく検討を行ったが、エンジインを基質とした場合に比べ、収率及びエナンチオ選択性は低下する結果となった。本エナンチオ場選択的エニンメタセシスにおいて高いエナンチオ選択性を実現するためには、さらに触媒の最適化が必要であることが明らかになった。
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Research Products
(18 results)