2010 Fiscal Year Annual Research Report
カスケード環化反応を基盤とする抗腫瘍性アルカロイドHaouamine類の合成研究
Project/Area Number |
21790011
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷口 剛史 金沢大学, 薬学系, 助教 (60444204)
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Keywords | ハオウアミン / 全合成 / 鉄触媒 / ラジカル反応 |
Research Abstract |
プメラー型環化反応を用いたハオウアミンBのインデノテトラヒドロピリジン骨格の構築は困難であったこと、および、ハオウアミン類のビアリール部分を構築するために新規反応開発が必要であったことから、これらの目的を達成し得る新たなラジカル反応の開発を行った。最初にモデル基質として2-フェニルプロペンを設定し、種々のラジカル前駆体、反応剤および触媒等をスクリーニングした。その結果、酸素存在下、水を溶媒として用いフェロシアン化カリウム三水和物を触媒として芳香族ヒドラジンからアリールラジカルが発生し、アルケンとの付加反応によって2-アリールペルオキシド誘導体が高収率で得られることを見出した。さらに、本反応を直接的なビアリール合成に応用した。また、カルバジン酸エステルを空気中で触媒量のフタロシアニン鉄で処理することによってアルコキシカルボニルラジカルが発生し、アルケンとの付加反応によって2-ヒドロキシエステル誘導体が高収率で得られることを見出した。さらに、本反応はスルホニルラジカルのような他のラジカル種の発生にも応用することができた。また、新たなラジカル環化反応を見出した。例えば、1,6-ジエン化合物存在下で硝酸鉄を加熱すると、1,6-ジエンへのニトロ基の付加に続くラジカル環化反応が進行することを見出し、さらにこれを一般的なニトロ化反応に拡張するとともに、反応条件がより緩和な改良法も見出すことができた。これらの反応は安価で毒性の低い試薬を用いており、また反応操作も安全かつ簡便であることから、有用なラジカル反応であると考えられる。現在のところ、ハオウアミンBの合成には至っていないが、本合成研究をきっかけに多くの新しい反応を開発できたため、今後はこれらを応用することによって、ハオウアミン類の効率的な合成が達成されることが期待される。
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Research Products
(8 results)