2009 Fiscal Year Annual Research Report
白金族金属触媒を用いたアレンへの有機ボロン酸の位置選択的付加反応の応用と展開
Project/Area Number |
21790016
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 昌裕 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10344681)
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Keywords | パラジウム / 白金 / アレン / ボロン酸 / 全合成 / 立体選択的反応 / 不斉合成 / クライゼン転移 |
Research Abstract |
近年、複雑な分子を選択的に構築する有機合成方法論は著しい進歩を遂げている。とりわけ遷移金属触媒を用いた炭素-炭素結合生成反応は、その反応性並びに実用性の高さから有機合成化学、創薬化学の分野から大いに注目されており、様々な新しい方法論が日々研究開発されている。今回申請者は、遷移金属種の選択による反応生成物の制御に着目し、白金族元素ヒドロキソ錯体を用いたアレン化合物への有機ボロン酸の位置選択的付加反応を基盤とした生理活性天然物合成への展開を行うことを計画した。ヒドロキソ白金触媒を用いたexo選択的付加反応の応用として、本反応を用いたヘリアナン型セスキテルペンheliannuol Dの全合成を試みた。即ちアレニルアルコールとアリールボロン酸の反応により位置選択的に得られるexo型付加体3に対し、側鎖の増炭並びにフェノール性水酸基のジメチルアリル化を経た後、閉環メタセシス反応に付すことでheliannuol Dの全合成を達成した。ヒドロキソパラジウム触媒を用いたendo選択的付加反応の応用として、本反応を用いた抗菌活性天然物enokipodin Aの全合成を試みた。即ち光学活性なアレニルアルコールに対し、パラジウム触媒存在下アリールボロン酸を作用させたところ、アリール置換アルケンが選択的に生成することが明らかとなった。本化合物に対し、Eschenmoser-Claisen転移に付すことで四級不斉中心を持つ転移生成物をエナンチオ特異的に得た。本生成物より更に数工程を経ることでenokipodin Aの全合成を達成した。
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