2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド手法による機能性プロリンの創製とその利用
Project/Area Number |
21790018
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
出水 庸介 National Institute of Health Sciences, 有機化学部, 研究官 (90389180)
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Keywords | アミノ酸 / ペプチド / コンフォメーション / フォルダマー |
Research Abstract |
現在までに、有機合成化学を基盤とし、医薬品開発につながる機能性分子の創製と生体機能解明へのアプローチを目指して、ジ置換アミノ酸を利用したペプチドフォルダマーの設計と合成、新しくクリーンな分子変換手法として、電気化学反応を利用したハイブリッド手法による環状アミン類の高効率的分子変換と有機化学的応用、に関する研究を行ってきた。今回、従来研究してきた電気化学反応を利用したハイブリッド手法による環状アミン類の効率的分子変換研究とペプチド二次構造研究を応用し、新規アミノ酸の合成と機能性ペプチドへの展開を計画した。即ち、入手容易な環状アミノ酸から有機化学的および電気化学的手法を併せたハイブリッド手法により環状アミノ酸の創製を行い、それらを含むペプチド二次構造研究に展開し、最終的に生理活性ペプチドへ応用することを目的とした。平成21年度は、(1)ハイブリッド手法を用いた環状アミノ酸の合成、(2)ハイブリッド型ペプチドの設計と合成、(2)ペプチド二次構造の精密解析を行った。(1)では、電極酸化反応を用いた環状アミン、および環状アミノ酸の直接的α-シアノ化反応を行い、新規環状アミノ酸の効率的合成法を開発した。(2)では、L-プロリン、D-プロリン、ジメチルグリシン(Aib)から構成されるペプチドCbz-L-Pro-(Aib)5-OMe、Cbz-L-Pro-L-Pro-(Aib)4-OMe、Cbz-D-Pro-L-Pro-(Aib)4-OMeを設計し、液相法により合成した。(3)では、それぞれ合成したペプチド二次構造の精密解析を行った。構造解析は、溶液中ではNMR、IR、CDスペクトルを用いて、結晶中ではX線結晶解析を用いて行った。その結果、L-Pro、L-Pro-L-Proをそれぞれ導入したペプチドは溶液中、結晶中において左巻きのヘリックス構造を形成していた。一方で、D-Pro-L-Proを導入したペプチドは溶液中においては右巻きのヘリックス構造を優先して形成していたが、結晶中ではD-Pro-L-Proから形成される空間中に水分子が存在し、その水分子の影響を受けて左巻きのヘリックス構造が形成されることを明らかとした。
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Research Products
(17 results)