2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルキン化合物を合成素子とする複素環化合物の触媒的合成法の開発
Project/Area Number |
21790024
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
齊藤 亜紀夫 Showa Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (10339103)
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Keywords | アルキン / 複素環 / クライゼン転位 / メタセシス / ロジウム / 金 / アンチモン |
Research Abstract |
アルキン化合物はへテロ原子などの求核試薬との付加反応が可能であり、その分子内反応は種々の複素環化合物の合成法として有用である。また、アルキン化合物を用いるメタセシス反応ではジエンやエノンなどの官能性分子への変換ができ、新規かつ効率的な触媒系の開発によりアルキン類の新たな反応性や有用性の高い合成法が見出されている。申請者はこのようなアルキン化合物の反応に注目し、遷移金属触媒を用いた複素環化合物の新規かつ効率的な合成法の開発を行なってきている。その一環として、N-プロパルギルアニリン誘導体の芳香族amino-Claisen転位反応を経由する触媒的インドール合成法の開発を行なった。また、アルキン-カルボニルメタセシス反応による共役エノン合成法を利用し、フェニルアルキン誘導体とアルデヒド類からの触媒的な1段階インダノン合成法を見出した。 本年度は、これらの知見に基づき、種々の複素環合成について検討し、カチオン性金錯体を触媒とするN-プロパルギルエナミンノン誘導体からの多置換ピロール合成法や、パラジウム触媒を用いるN-プロパルギルアミド誘導体の環化/アリル化反応によるオキサゾール合成法を開発した。さらに、後者の反応の検討中に、超原子価ヨウ素試薬を用いた新規オキサゾール合成法を見出した。また、アルキンーカルボニルメタセシス反応を経由する合成法について検討した結果、SbF5のアルコール錯体を用いることにより、0-アルキニルアニリン誘導体とアルデヒド化合物から1段階で2,3-ジヒドロキノリン-4(1H)-オンが得られることが明らかとした。 以上、本研究は、アルキン化合物の分子内反応を基盤とする新規複素環合成であり、有機合成化学上、興味深い知見を与えたものと考えている。
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