2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルキン化合物を合成素子とする複素環化合物の触媒的合成法の開発
Project/Area Number |
21790024
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
齊藤 亜紀夫 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (10339103)
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Keywords | アルキン / 環化異性化反応 / 酸化的環化反応 / アリル化 / パラジウム / 超原子価ヨウ素試薬 / フラン |
Research Abstract |
オキサゾールやフランに代表される複素環骨格は生理活性物質などに見られる重要な基本骨格であることから、新規かつ効率的な合成法の開発は重要な課題である。本研究期間中、アルキン化合物の分子内反応を基盤とした複素環化合物の効率的な合成法を行ってきており、その一環として「プロパルギルアミド誘導体の環化/アリル化反応および酸化的環化反応を利用する側鎖修飾型オキサゾール合成法」を明らかにした。これらの知見を基に、今年度は下記に示したフラン合成法へと展開した。 (1)環化/アリル化反応による側鎖修飾型フラン合成法:昨年度、パラジウム触媒を用いた2-プロパルギル-1,3-ジカルボニル化合物とアリル炭酸エステルとの環化/アリル化反応が進行することを見出しおり、今年度は基質一般性の拡大を狙って、種々の置換基様式を有する4-アルキノン誘導体についても検討した。その結果、同条件下で4-アルキノン誘導体の環化反応によるフラン形成と共に側鎖へのアリル化反応が進行し、ホモアリルフラン誘導体が得られることを明らかにした。 (2)酸化的環化反応によるフルフリルアルコールおよびフルフラール誘導体の選択的合成法:三価ヨウ素試薬の使用によって、金属触媒を用いることなく2-プロパルギル-1,3-ジカルボニル化合物の酸化的環化反応が効率的に進行し、後処理後にフルフリルアルコール誘導体として得られることを見出した。また、三価ヨウ素試薬を二当量以上用いることにより、2-プロパルギル-1,3-ジカルボニル化合物のから直接的にフルフラール誘導体へと変換可能であることを明らかにした。 以上、本検討結果は、アルキン化合物の環化反応を基盤とする連続的な結合形成反応を利用したフラン合成法であり、有機合成化学上、興味深い知見を与えたものと考えている。
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