2009 Fiscal Year Annual Research Report
イースタンブロットを用いた漢方薬のハイスループット分析法
Project/Area Number |
21790030
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
森永 紀 Nagasaki International University, 薬学部, 講師 (60465771)
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Keywords | イースタンブロット / モノクローナル抗体 / 漢方薬 / 配糖体 / 免疫染色 / イムノアッセイ / 品質評価 |
Research Abstract |
本研究では、これまでに作製した生薬成分の主に配糖体に対するモノクローナル抗体とイースタンブロット(低分子化合物である配糖体の免疫染色法)を利用して、漢方薬の網羅的解析法(漢方薬に含まれる主有効成分のハイスループット分析法)の確立を目標としている。平成21年度は研究実施計画の1.簡易分析キットの開発、2.ポリエーテルスルホン膜を用いた二次元展開による配糖体の高度分離・多重染色について研究を実施した。研究1.においては、芍薬のペオニフロリン及び柴胡のサイコサポニンaに対するイムノクロマトグラフ法を用いた競合型簡易分析キットを作成し、実際に小柴胡湯などの漢方薬の品質評価へ応用し、短時間(10分間)での定性分析に成功した。研究2.においては、甘草のグリチルリチン、人参のジンセノシドRb1を用いて、ポリエーテルスルホン膜による二次元展開・分離を検討した。検討結果としては二次元展開・分離は可能であるが、高度分離には至らなかった。さらに、本法は1シートにつき1サンプルの分析となるため、今後の研究としては、抗体の特異性に着目し、展開・分離を行わないDot blot法による1シートにつき多数のサンプルの分析が可能となる分析法の開発を進める計画である。一方で、平成21年度は、3.New Eastern Blotting法の開発も行い、芍薬のペオニフロリン及び黄苓のバイカリンに対する本法の確立に成功した。また甘草のグリチルリチンに対するイースタンブロットの汎用性も確認し、アメリカ人参果実中のジンセノシドReの特異的な定量分析法への応用としての評価も行った。これらイースタンブロット関連の研究成果は、学会発表や論文掲載を通じて成果発表をするに至った。漢方薬をはじめ、薬用植物の品質評価にもイースタンブロットが応用できることを示したことは、本法が新たな分析法に成り得る可能性を示唆しており、今後の研究においても極めて重要な研究成果であった。
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