2009 Fiscal Year Annual Research Report
MQ-MAS NMR法による医薬品金属塩の結晶・分子状態の評価
Project/Area Number |
21790032
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
東 顕二郎 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 助教 (40451760)
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Keywords | MQ-MAS NMR / Solid State NMR / 金属塩 / 水和物 / ナプロキセンNa / 分子状態 / 低含量製剤 / PXRD |
Research Abstract |
本研究は、固体NMR法のパルスシークエンスとして近年新たに開発された"Multi Quantum Magic Angle Spinning(MQ-MAS)NMR法"を用いて、固体医薬品の構造中に含まれるNa、Al、Mg、Caなどの金属原子の分子状態をダイレクトに評価することを目的としている。本年度は3種類の水和物が報告されているナプロキセンNaをモデル化合物として、MQ-MAS NMR法の水和物識別への応用を検討した。従来から用いられている^<23>Na-MAS NMRスペクトルでは、各水和物のNaのピークは核四極子相互作用による影響で非対称及び線幅が広くなり、ピークの数が不明瞭であった。一方、^<23>Na-MQMAS NMRスペクトルでは^<23>Na-MAS NMR測定で認められたピークが明瞭に分離されているのが観察され、詳細に分子状態を検討することが可能であった。^<23>Na-MQMAS NMRスペクトルで観察されるNaのピークのδ_<cs>値及びP_Q値は、各水和物間でそれぞれ明瞭に異なる値を示し、^<23>Na-MQMAS NMRは水和物の識別に有用な方法であることが明らかとなった。^<23>Na-MQMAS NMR法による1.0%低含量製剤中の主薬の分子状態の評価を行った結果、他の方法では薬物ピークを観測することが困難であったのに対して、^<23>Na-MQNAS NMRスペクトルではNaのピークが明瞭に観察された。このことから、^<23>Na-MQMAS NMR法を用いることにより、低含量製剤中の薬物の分子状態を正確かつ容易に評価できることが示された。以上の結果より、^<23>Na-MQMAS NMR法は、製剤の分野においても医薬品結晶多形の識別や分子状態の評価等に幅広く応用できる有用な手法であると考えられ、今後更なる応用が期待される。
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