2009 Fiscal Year Annual Research Report
体内動態追跡を目的とした細胞標識のための多機能性量子ドットの開発
Project/Area Number |
21790035
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
樋口 ゆり子 Kyoto University, 薬学研究科, 助教 (40402797)
|
Keywords | 量子ドット / PAMAMデンドリマー / エンドソーム脱出 / 細胞内動態 |
Research Abstract |
量子ドットのような微粒子はエンドサイトーシスにより細胞に取り込まれた後、エンドソーム、リソソームとpHの低い環境にさらされる。量子ドットを各種pHの水溶液中における蛍光強度を測定したところ、pH4においては急激な蛍光強度の低下が認められた。そこで低pH環境下における量子ドットの退色を回避するために、緩衝能を有するPAMAMデンドリマーを修飾した量子ドットを作成した。作成した量子ドット1個当たり約8個のPAMAMデンドリマーが修飾されており、未修飾の量子ドットと蛍光強度はほぼ同じであった。PAMAMデンドリマー修飾量子ドットを細胞へ取り込ませると、未修飾量子ドットと比較して、細胞質へ分散する様子が観察された。更に、PAMAMの有する正電荷により未修飾量子ドットではゼータ電位は-20mVだったが、PAMAMデンドリマー修飾量子ドットでは+3mVになった。さらに細胞膜との静電的相互作用により細胞への取り込み量が増大した。最後に、PAMAMデンドリマー修飾または未修飾量子ドットを同程度の蛍光強度になるように細胞へ取り込ませた後、経日的に蛍光強度を観察したところ、未修飾量子ドットは3日後には蛍光強度が明らかに減少したが、PAMAMデンドリマー修飾量子ドットはほとんど退色していなかった。またPAMAMデンドリマー修飾量子ドットは少なくとも40nMまで細胞毒性は観察されなかった。以上、本年度は、機能性分子としてPAMAMデンドリマーを修飾した量子ドットを作成し、細胞内動態を制御することにより量子ドットの蛍光強度の減少を抑制することができた。また、次年度にむけて、多機能性量子ドットの作成を開始した。
|