2010 Fiscal Year Annual Research Report
体内動態追跡を目的とした細胞標識のための多機能性量子ドットの開発
Project/Area Number |
21790035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
樋口 ゆり子 京都大学, 薬学研究科, 助教 (40402797)
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Keywords | 量子ドット / PAMAMデンドリマー / エンドソーム脱出 / 分化 |
Research Abstract |
量子ドットは、強い蛍光を発光し、励起光に対する退色がほとんどない、などin vivoのイメージングに適した性質を有する。しかしながら、エンドサイト-シスを介した取り込み後、エンドソーム内に滞留し、pHの低下にともない蛍光が消光するため、エンドサイト-シスを介した取り込みによる長期蛍光標識は困難である。昨年度本研究課題で作成したPAMAMデンドリマー修飾量子ドットはPAMAMデンドリマーのbuffering能により量子ドットのエンドソームからの脱出を促進し、蛍光強度を持続させることができた。本年度は、まず、PAMAMデンドリマー修飾量子ドットで標識されたマウス由来初代培養間葉系幹細胞を用いた、移植後の間葉系幹細胞追跡を行った。蛍光標識された幹細胞は、静脈内投与後、30分後は肺で高い集積が観察されたが、6時間後には、肺における集積は減少し、肝臓および脾臓における高い集積が観察された。また、心臓、腎臓にはほとんど集積は認められなかった。また、高速撮影が可能な共焦点レーザー顕微鏡を用いて、生きたマウスの腹部に小さな開口を作成し、麻酔下において肝臓内の血管を血流とともに流れる蛍光標識間葉系幹細胞を観察することにも成功した。更に、まず、PAMAMデンドリマーに代わり生体親和性を有し、buffering能を有するアミノ酸であるヒスチジンやリジンから構成されるアミノ酸デンドリマーを合成し、蛍光微粒子に修飾し細胞内動態を観察したところ、PAMAMデンドリマーの場合と同様にエンドソームからの脱出が促進される様子が観察された。以上、量子ドットにbuffering能を有する分子を修飾することにより、細胞への取り込み促進およびエンドソームからの脱出促進により、細胞の効率的な蛍光修飾かつ蛍光標識の持続が可能となり、マウス体内の細胞の動態を可視化することに成功した。
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