2009 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性疾患治療を目的とした機能性高分子を用いたナノ微粒子キャリアの開発
Project/Area Number |
21790041
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
綾野 絵理 Keio University, 薬学部, 研究員 (10424102)
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Keywords | インテリジェントポリマー / PNIPAAm / PLA / DDS / ナノ粒子 / 相転移温度 |
Research Abstract |
本研究では、外部環境刺激に応答し、その構造・性質を変化させる機能性高分子を用いてステルス性を持つ新規ナノ微粒子を開発する。温度応答性高分子のpoly(N-isopropylacrylamide) (PNIPAAm)とPLA(ポリ乳酸)の共重合体を分子設計し、PLAと混合することで、コア部がPLA、シェル部がPNIPAAmから成るナノ微粒子を作製した。PNIPAAmは32℃付近に相転移温度(LCST)を有し、LCSTより低温では親水性を、高温では疎水性を示す。PNIPAAm-PLAを用いることで、相転移温度より低温域ではシェル部のPNIPAAmの親水性状態により、DDS製剤の開発に使用されているPEG-PLAと同様のステルス効果を示すと考えられる。 当該年度は、薬物にリン酸ベタメタゾンを用い、100~150nmの温度応答性ナノ微粒子が作製された。しかし、PNIPAAm単独ではLCSTが32℃と体温より低温側にあることから、臨床へ応用するために、LCSTを体温付近に持つコポリマーを作製する必要がある。親水性モノマーであるN,N-dimethylacrylamide (DMAAm)及びカチオン性モノマーであるN,N-dimethylaminopropylacrylamide (DMAPAAm)をPNIPAAmに共重合させたところ、LCSTを37℃~40℃に上昇させることができた。O/W型溶媒拡散法により粒子化し、ゼータ電位を測定したところ、DMAPAAm共重合体粒子において、ゼータ電位がプラスを示した,カチオン性を帯びる事で、細胞取り込み効率の向上及びライソソームのプロトンスポンジ効果を利用した細胞取り込み後の薬物放出効率の向上が期待された。平成22年度は、薬物として免疫抑制剤のFK506を用いると共に作製したナノ微粒子の細胞内への取り込み機構解明、薬物機能解析等について検討する。
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