2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物ステロールによるコレステロール吸収抑制機構の解明と新しい吸収抑制方法
Project/Area Number |
21790043
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松岡 圭介 Showa Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (90384635)
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Keywords | 脂質 / 食品 / コロイド |
Research Abstract |
モデル腸液を簡素化した系(胆汁酸塩/コレステロール/植物ステロール種)でコレステロールと植物ステロール種の競争的可溶化実験を行った。この実験系での目的は植物ステロール類の分子構造に違いに基づく、コレステロールの可溶化量低下への影響を明確にすることである。代表的な6種のステロール類(シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール、シトスタノール、コレスタノール)をそれぞれ、コレステロールと等モル混合して実験を行った。研究結果の成果として、植物ステロール類は一般的に生体内でコレステロールの吸収抑制に効果的であると言われているが、今回の競争的可溶化に限定するならば全ての分子種が有効ではないことが分かった。その6種のステロール/スタノールにおいて、コレスタノールが最もコレステロールの溶解度を下げることが分かった。そのコレステロールの溶解度は15mMのタウロデオキシコール酸ナトリウム水溶液中で、コレスタノールを添加しない場合と比較すると約30%まで低下した。分子構造の観点からはコレスタノールがコレステロールに最も類似している特長がある。一方、ブラシカステロール、スティグマステロールの添加ではコレステロールの溶解度は殆ど低下しなかっただけでなく、その両ステロール類の可溶加量の方が低下する結果となった。この2つのステロール分子は不飽和の二重結合をC22の位置に配位する共通の特徴を持つ。その他の3つのステロール/スタノール類の添加の場合は、コレステロールの可溶加量はおよそ半分まで低下させることができることが判明した。コレステロールの可溶加量を低下させることができるステロール類は、可溶化に伴う自由エネルギー変化がコレステロールより負の値をもつことが熱力学的計算より分かった。本年度は、コレステロール吸収抑制に最も有効な植物ステロール種を提示することができた。
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Research Products
(2 results)