2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790046
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
加藤 くみ子 National Institute of Health Sciences, 薬品部, 室長 (10398901)
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Keywords | 解析・評価 / ナノバイオ / 品質管理システム / 分析科学 / 薬学 |
Research Abstract |
本研究は、誘電泳動法を利用し、ナノ粒子製剤に含有される薬物量によりナノ粒子を分離及び精製する手法を開発することを目的とする。本年度は、薬物を内包させたナノメートルサイズのキャリアーと薬物を内包しないキャリアーを試料とし、誘電泳動条件を変化させた際、両者で電極への集積性が異なるかどうか検討した。 試料には、副作用を抑えるための投与形態として最も理想的であると考えられているドラッグデリバリーシステム(DDS)製剤を試料として用いた。具体的には、分極率の大きい抗がん剤ドキソルビシン等を内包した高分子ミセルとリボソームを作製した。薬物キャリアーに薬物を含む水溶液を加えて薬物を内包させた後、透析等により、薬物を内包したキャリアーと内包されなかった薬物を分離した。ナノ粒子製剤は動的光散乱計を用いて粒子径の均一性を確認した。 誘電泳動現象では、塩濃度が大きいと、誘電率が増大し測定に大きな影響を及ぼすため、リボソームおよび高分子ミセルにっき、キャリアーのみと薬物を内包させたものをそれぞれ超純水で希釈し塩濃度を下げたものを測定試料とした。交流電圧を印加し誘電泳動を誘起させる際に、周波数および印加時間を変化させたところ、ある一定の条件において、キャリアーのみと薬物を内包したキャリアーとで電極への集積速度が異なることが明らかとなった。この結果より、誘電泳動現象によりナノメートルサイズのキャリアーに内包される薬物量の違いにより、ナノ粒子製剤を分離できる可能性が示唆された。
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