2009 Fiscal Year Annual Research Report
高効率・高安全性遺伝子導入ベクターの開発を目指したバイオサーファクタントの探索
Project/Area Number |
21790047
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
伊納 義和 Aichi Gakuin University, 薬学部, 助教 (90434547)
|
Keywords | 遺伝子治療 / 遺伝子導入 / 非ウイルスベクター / バイオサーファクタント / 不飽和度 |
Research Abstract |
申請者はこれまで正電荷リポソームによる遺伝子導入の研究を行い、従来では安全性は高いものの導入効率が低いとされている非ウイルスベクターに対して、糖脂質系バイオサーファクタントのひとつであるMEL-Aを用いることにより高い遺伝子導入効率を実現することに成功している。 本申請研究では、さらなる遺伝子導入能を向上させるため、MEL-Aが有する脂肪酸における不飽和脂肪酸の割合、すなわち不飽和度を変化させた3種(不飽和度;9.1%,21.5%,46.3%)のMEL-A含有正電荷リポソームを作製し、遺伝子導入効率の測定を行なう。またこれら数種のMEL-A含有正電荷リポソームの詳細な物理化学的特性の解明と細胞内遺伝子導入機構の追究し、遺伝子導入効率との構造相関を解明することを試みた。 その結果、不飽和度21.5%のMEL-A含有正電荷リポソームを用いたときにのみ、高い遺伝子導入が得られた。その要因について検討したところ、MEL-Aの不飽和度は正電荷リポソームの1)DNAとの複合体形成能、2)細胞膜との融合効率、3)リポソームからのDNAの遊離効率に著しく影響を及ぼすことを明らかにした。以上より、高い遺伝子導入能を有するMEL-A含有正電荷リポソームには最適な不飽和度が必要であることを明らかとした。この結果は、遺伝子治療分野において安全で遺伝子導入効率の高い非ウイルスベクターの開発の基盤研究として意義の大きい研究結果であると言える。
|