2010 Fiscal Year Annual Research Report
リポソームおよび脂肪乳剤を用いる電気化学測定系の構築
Project/Area Number |
21790048
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
奥村 典子 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (00275091)
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Keywords | 電気化学 / 生理活性キノン / リポソーム / 脂肪乳剤 |
Research Abstract |
本研究は、「生体内により近い条件での電気化学測定系の構築」を目的としている。電気化学活性種の酸化還元電位の測定はその性質や反応性を評価する上で重要である。通常、脂溶性の高い化合物は有機溶媒を用いて酸化還元挙動を観測するが、用いる溶媒や支持電解質の性質が測定に影響を及ぼすことが知られており、測定値の比較には媒体の統一が求められる。昨年度までに本研究では脂溶性物質をリポソーム膜中に導入し、水中へ分散させて酸化還元挙動を直接観測することに成功した。平成22年度実施した研究の成果は以下のとおりである。 リポソーム膜中に導入した脂溶性生理活性キノン(Lapachol、VK1)の酸化還元挙動のpH依存性を観測することを試みた。Lapacholは天然物由来の抗癌活性キノンであるが、自身のOH基によるセルフプロトネーションにより有機溶媒中では複雑な酸化還元挙動を示す。しかし、リポソーム膜中では非常にシンプルな酸化還元挙動を示し、そのpH依存性を再現性よく観測することに成功した。また、脂肪乳剤として高カロリー輸液に用いられる製品(イントラリポス)を利用して、このミセル中Lapacholを導入して電気化学測定を行うことを試みた。脂肪乳剤に脂溶性物質を導入するために熱、超音波、さらに界面活性剤の効果を検討し、レシチンを用いてミセルに導入する方法を考案した。さらなる改善方法を検討し、23年度の実験につなげていく予定である。
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