2010 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージにおける薬剤誘発性ホスホリピドーシス発症メカニズムの解明
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21790051
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
黒田 幸弘 武庫川女子大学, 薬学部, 准教授 (60314225)
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Keywords | ホスホリピドーシス / カチオン性両親媒性薬 / リン脂質の取り込み / RAW264 / スカベンジャー受容体 / 酸性ベクシル |
Research Abstract |
1.カチオン性両親媒性薬物(CAD)の持続暴露によって生じるRAW264細胞内リン脂質の蓄積量の継持変化を観測した。薬物(クロルプロマジン、イミプラミン)の暴露時間の増加に伴いリン脂質蓄積量が増加し、暴露を中止するとその後のリン脂質量は減少した。リン脂質蓄積量と細胞内薬物量との関係を現在調査中であり、蓄積量のモデル構築とシミュレーションが可能かどうかを検討する。 2.pH依存性蛍光標識化合物をRAW264細胞に取り込ませ、CADの暴露にともなう細胞内酸性オルガネラ内水相のpH変化を検出した。CAD(イミプラミン)の暴露によって酸性オルガネラ内水相のpHは一過的に上昇し、その後pHが減少することが観察された。一過的上昇後のpHの減少が、酸性オルガネラのプロトンポンプの働きによるものかどうかを現在調査中である。もしプロトンポンプの働きによるものであれば、CAD投与による酸性オルガネラ内pHの上昇は細胞の恒常性維持機構により打ち消されるため、pH上昇が薬剤誘発性ホスホリピドーシスの原因にはならないと示唆される。 3.CADによるホスホリパーゼの活性阻害がホスホリパーゼA2のクラス間で異なることを見出した。イミプラミンはボスホリパーゼIB(ブタ膵臓由来)を非拮抗的に阻害したのに対し、ホスホリパーゼIII(ハチ毒由来)を拮抗的に阻害した。ホスホリパーゼ阻害が薬剤誘発性ホスホリピドーシスの原因の一つとして示唆されていることから、リソソーム由来のホスホリパーゼについても阻害の有無、様式、程度を調査中である。
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