2010 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素変性症を引き起こすスプライソソーム生成経路の異常とその調節機構の解明
Project/Area Number |
21790056
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米田 宏 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 講師 (60431318)
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Keywords | 遺伝子 / シグナル伝達 / スプライシング |
Research Abstract |
本研究はスプライシング因子の遺伝子変異が原因となる網膜色素変性症の発症機構にそれらの変異がどのように関与するのかを明らかにすることを目的としている。申請者はスプライシング反応を担う巨大RNA-タンパク質複合体であるスプライソソームに着目し、特にスプライシングの反応サイクルで活性型複合体を形成する前段階の複合体であるU4/U6.U5 tri-SNPの生成経路への遺伝子変異の影響を検討することを2年間の研究計画の具体的な目標としている。昨年度はこのtri-snRNP複合体を検出する発光レポーターの作成に取り組み、tri-snRNPそのものの検出はできないものの、さらにその前駆体であるU5 snRNPを検出できるレポーターの作成に成功した。本年度はこのレポーターを用いて網膜色素変性症の原因遺伝子変異が細胞内におけるU5 snRNP形成に及ぼす影響を検討した。その結果、Prp3、Prp31、Prp8いずれの変異体の導入も、このレポーターによるU5 snRNP量の検出レベルに影響を与えなかった。そこで、このU5 snRNP量が細胞培養条件に応答して変動するかを検討したところ、転写の阻害剤であるActD添加ではU5 snRNP量は増加し、これはスプライシングの基質となるpre-mRNAの減少が起こるためと考えられた。この他にも多数の薬剤の効果を検討したところ、MG132処理によりU5 snRNP量の低下が認められた。現在、この効果がどのような機構で起こるかをさらに検討している。これらの検討はRP原因遺伝子変異がtri-snRNP量に影響する場合にその量変化を補正するための方策を見いだすための基礎的な理解をもたらすと期待している。
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Research Products
(3 results)