2009 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性脂質リゾホスファチジン酸の体毛形成における機能解析
Project/Area Number |
21790058
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 飛鳥 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 助手 (50525813)
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Keywords | リゾリン脂質 / 毛包 / 受容体 / GPCR / 体毛形成 / LPA |
Research Abstract |
我々は、生理活性脂質であるリゾホスファチジン酸(LPA)が体毛形成に深く関与していることを明らかにしている。しかし、LPAがどのような分子メカニズムを介して体毛形成に関与しているかは明らかになっていない。そこで本研究課題において産生酵素PA-PLA1α KOマウスを用いた解析を行い、体毛形成過程におけるLPAの役割とその分子メカニズムを検討した。また、体毛形成過程で働くLPA受容体であるP2Y5のアゴニストが、体毛促進作用があると期待し、LPA骨格を有する化合物について、P2Y5アゴニストの探索を行った。 (1)LPAによる体毛形成のメカニズムの解明LPAの体毛形成に関わる分子メカニズムとして、TGFαおよびEGF受容体の活性化に着目して解析を行った。その結果、PA-PLA1α KOマウスの皮膚で遊離TGFαおよびリン酸化EGF受容体が減少していた。さらに、LPAは初代培養角化細胞に対し、TGFαの放出の促進とEGF受容体のリン酸化を引き起こした。この現象はP2Y5に対するRNAiおよびTACE阻害剤で抑制された。従って、LPAはTGFαおよびEGF受容体の活性化を介して体毛形成に関与することが示唆された。 (2)LPA受容体P2Y5アゴニストの開発TGFαの切断・放出を利用したP2Y5の活性測定系を用い、当研究室の保有するLPAアナログのP2Y5活性化能を評価した。約120種類のLPAアナログのうち、15種類がLPAと同等かそれ以上のアゴニスト作用を示した。現在、得られた構造活性相関を元に、ホスファターゼ耐性な2-アシルLPAアナログの有機合成を進めている。このLPAアナログはin vivoで分解を受けにくいと予想され、体毛形成促進効果を有することが期待される。
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