2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現制御から迫る癌遺伝子産物p53を介するアポトーシス経路の分子機構
Project/Area Number |
21790066
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田中 亜紀 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 助教 (50432109)
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Keywords | 基本転写因子 / TFIIE / TFIIH / 癌抑制遺伝子産物p53 / 免疫沈降実験 |
Research Abstract |
○ 細胞抽出液を用いた免疫沈降実験 In vitro結合実験では、TFIIEαとp62(TFIIHのサブユニットの一つ)の相互作用を、リン酸化p53が阻害する実験結果を得た。そこでDNA損傷刺激を与えたヒト乳癌由来MCF-7細胞の抽出液を用いて免疫沈降実験を行った。その結果、DNA損傷依存的にTFIIEとTFIIHの相互作用をp53が阻害する可能性が示された。しかし本研究の主題であるp53の46番目セリンと55番目のスレオニンのリン酸化が関わる可能性を示すにいたらなかった。 ○ クロマチン免疫沈降法(ChIP法)によるプロモーターでの局在 p53標的遺伝子であるp21遺伝子のプロモーターにおいて、UV処理またはアドリアマイシン処理によりTFIIEとTFIIHの挙動が似ていることは示された。しかしそのことがp53と関連することを示す結果は得られなかった。 本解析により細胞内でTFIIEとTFIIHの相互作用に、p53が何らかの影響を及ぼす可能性が示された。しかし遺伝子のプロモーター上で起こりうることであるのか、またp53の46番目セリンと55番目スレオニンのリン酸化が関わるのかを示すことはできなかった。46番目セリンのリン酸化が関わるとされるp53 AIP1遺伝子のプロモーター上での検討や、TFIIEαとp62、p53の変異体を用いた解析が課題として残された。この解析を続けることで、p53を介する新たなアポトーシス経路の分子機構の解明につなげていけると考える。
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