2009 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん発作感受性遺伝子MMPの機能的役割と発現機構の網羅的解析
Project/Area Number |
21790068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
溝口 博之 Nagoya University, 環境医学研究所, 助教 (70402568)
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Keywords | てんかん / MMP / 海馬 / 苔状線維 / BDNF |
Research Abstract |
本研究では、「難治性てんかんは、神経突起の伸展作用などを有するマトリックスメタロプロテアーゼ-9(matrix metalloproteinase-9:MMP-9)による異常なシナプス可塑性が関与する」との作業仮説を立て、ペンチレンテトラゾール(pentylenetetrazole : PTZ)連続投与によりキンドリングを形成したマウス(てんかんモデルマウス)の海馬におけるMMP-9の機能解析と発現機構の解明を最終目標とする。 平成21年度は以下の点を明らかにした。 1. てんかんおよび痙攣発作におけるMMP-9の機能的役割 PTZを連続投与したキンドリングマウスの海馬において、MMP-9の活性化および発現の増加が認められた。キンドリングマウスの海馬脳において苔状線維の異常発芽が確認できた。この異常発芽はMMP-9遺伝子欠損[MMP-9-(-/-)]マウスの海馬脳では確認できなかった。現在、定量結果を得るため例数の追加を行っている。 2. 神経栄養因子や細胞外マトリックスの発現変化 PTZを連続投与すると海馬内brain-derived neurotrophic factor (BDNF)のmRNAおよびタンパク発現が増加することが示されたが、laminin、neuronal cell adhesion molecule、beta-dystroglycanの発現に変化は認められなかった。 3. MMP-9-(-/-)マウスにおけるBDNFの発現変化 野生型マウスにPTZを連続投与すると、海馬におけるmature型BDNFタンパクの発現が増加したが、MMP-9-(-/-)マウスでは認められなかった。 以上の結果から、キンドリングマウスで認められるMMP-9の活性化は痙攣誘発因子であるBDNFのmature化を引き起こすことで、キンドリングの形成を導く可能性が示唆された。
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